研究課題/領域番号 |
19K16457
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
酒井 隆全 名城大学, 薬学部, 助教 (60826923)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 妊婦 / シグナル検出 / JADER / 医薬品安全性監視 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本の自発報告データベースであるJADERから妊婦における報告事例を抽出し、シグナル検出を行うことで、妊婦における未知の副作用シグナルを見出すことを目的としている。本年度は、妊婦における報告事例の抽出方法を最適化するため、臨床家に協力を要請し、これまでに報告されている自発報告データベースからの妊婦の報告事例の抽出方法の評価を行った。これにより、妥当性の高い抽出方法を確立することができた。 次いで、妊婦において特に注意すべきと考えられる先天異常、流産、早産などの有害事象リスクを検討課題として、シグナルが検出される医薬品の探索を行った。その結果、いくつかの医薬品-有害事象の組み合わせでシグナルが検出された。さらに、検出されたシグナルについて動物実験やヒト胎盤移行性、先行研究の有無等からシグナルの重要性を評価した。これにより、イトラコナゾールによる流産やメトプロロールによる早産等の重要と考えられるシグナルを明らかにすることができた。 また、ここで行った解析を定式化して、JADERから妊婦における報告事例を抽出してProportional Reporting Ratio (PRR) やReporting Odds Ratio (ROR) 等のシグナル指標の計算を行うという一連のプロセスの半自動的に実施できるよう、システム構築を行った。これにより、自発報告データベースの更新に合わせて再度解析を実施し、継続的にシグナルをモニタリングする体制を構築することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクトは3年計画であり、初年度は、妊婦における報告事例の抽出方法の最適化およびシグナル検出を継続的に実施するシステム構築を行う予定であった。妊婦における報告事例の抽出方法に関しては、予定通り臨床家の協力を要請し検討することができた。システム構築については、データ処理の複雑化等により当初予定していた以上の費用が必要と見込まれ、業者委託を断念することとなったが、市販されているデータ処理ソフトを代用することで半自動的に解析を実施するシステム構築に着手できた。また、一部の有害事象について得られた知見は学会で発表することができた。 以上より、本研究計画は、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は解析対象の有害事象を拡充する等、2019年度に構築したシステムの改良を行う。また、エビデンスの質の高い研究デザインにより既知となっている妊婦における副作用と検出されたシグナルとの照合を行い、構築したシステムの妥当性の検証を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で参加予定であった学会が急遽中止となり、旅費分の端数が生じることとなった。また、システム構築の際、業者委託ができずに購入したデータ処理ソフトを使用しているが、ソフトの保守費用が必要となっている。そのため、次年度にソフトの保守費用として執行する予定である。
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