研究課題/領域番号 |
19K16457
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
酒井 隆全 名城大学, 薬学部, 助教 (60826923)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 妊婦 / シグナル検出 / 医薬品安全性監視 / JADER / 妥当性評価 |
研究実績の概要 |
昨年度の検討により明らかとした妊婦における報告事例の抽出アルゴリズムを用いて、日本の自発報告データベースであるJADERからの抽出作業を行い、解析を実施した。今年度は、妊婦におけるシグナル検出の妥当性評価を目的として、妊婦におけるリスクが既知の医薬品と有害事象の組合せを適切に検出できるかによる評価を実施した。評価のための検討題材には、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン産科編2020」において「ヒトで催奇形性・胎児毒性を示す明らかな証拠が報告されている代表的医薬品」として示されている医薬品と有害事象の組合せを用いた。JADERにおけるこれらの検討題材のReporting Odds Ratio(ROR)を算出し、シグナル検出基準を満たすか否かを調査した。その結果、18種の検討題材のうち、非ステロイド性抗炎症薬による動脈管収縮やミコフェノール酸モフェチルによる流産など7種でシグナルが検出され、感度は38.9%と算出された。一方で、検討題材の中にはダナゾールによる女性外性器の男性化など、当該医薬品が添付文書上で妊婦に対して禁忌となっているため、使用例自体が少なく、報告件数が0件と評価できない例も含まれていた。しかし、それらを含めても医薬品医療機器総合機構における検討や、小児を対象としたシグナル検出における検討と同程度の値を示していた。以上から、妊婦における医薬品安全性監視において、JADERを用いたシグナル検出は一定の妥当性を有していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、妊婦の医薬品安全性監視におけるJADERを用いたシグナル検出の妥当性の検討を実施することができ、解析対象の有害事象の拡充にも着手できている。また、得られた知見の一部は学会等で発表することができた。 以上より、本研究計画は、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでの解析にて検出されたシグナルについて、シグナル管理の考え方に基づいた評価を行い、妊婦において重要と考えられるシグナルを探索する。また、新たに報告された自発報告を含む最新のJADERのデータセットを定期的に取得し、新規のシグナルの探索も継続して実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大により成果発表予定であった学会が次年度に延期となったこと等により次年度使用額が生じた。延期となった学会参加に用いる予定である。
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