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2020 年度 実績報告書

新規生体膜透過機構を基盤とするシプロフロキサシン粉末吸入製剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K16460
研究機関同志社女子大学

研究代表者

木村 峻輔  同志社女子大学, 薬学部, 助教 (70792274)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード粉末吸入製剤 / 非晶質製剤 / 肺炎治療 / ニューキノロン系抗菌薬
研究実績の概要

令和2年度の検討では、前年度に膜透過性などの物性を最適化した非晶質製剤を含む各種粉末製剤を用いて、in vivo 体内動態評価を行った。各種粉末製剤を経気道内投与後の血中濃度変化に関しては、in vitro 膜透過性評価結果と概ね一致した。特に、in vitro 膜透過性が最も良好なアスパラギン酸混合の非晶質製剤では、静脈内投与に匹敵する吸収率(約86%)が得られた。また、得られた各薬物動態学的パラメータの中で、結晶製剤と非晶質製剤の平均滞留時間がほぼ同値を示したにも関わらず、吸収率では倍以上の差があったことから、非晶質化による新規膜透過機構に基づく吸収性改善が明らかとなった。
しかしながら、各投与1時間後の主要臓器移行量を検討したところ、消失経路である腎臓や肝臓濃度においては血中濃度と良好な相関性を示したが、粉末製剤間での肺内濃度に有意な差が観察されなかった。そこで、臓器移行量に関しても経時的評価を行った結果、非晶質製剤では上皮組織内への薬物移行が予想よりも速く、かつ肺内滞留時間は短い可能性が示唆された。一方で、結晶製剤を経気道内投与した場合、非晶質製剤と比較して上皮組織内への移行速度が遅い上に肺からの消失が速いことからも、非晶質製剤と同等の肺内濃度上昇は見込めず、経気道内投与後の肺移行性改善に対する非晶質製剤の有用性は高い。
さらに、溶液製剤をネブライザー投与した場合も比較検討したが、血中濃度プロファイルは非晶質製剤とほぼ同等であったものの、吸収率は 50% 程度に留まった。加えて、ネブライザー投与後の各臓器移行量は、各種粉末製剤同様に投与後早期の肺内濃度の上昇は観察されたが、非晶質製剤よりも低値であった。
したがって、シプロフロキサシンの肺内濃度を増大させる方法として、粉末製剤、特に非晶質製剤を用いた吸入投与の有用性は高いことが明らかとなった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 新規生体膜透過機構を基盤とするシプロフロキサシン粉末吸入製剤に関する検討2020

    • 著者名/発表者名
      木村 峻輔、宮田 侑季、川北 美帆、犬伏 紗和子、山下 修吾、喜里山 暁子
    • 学会等名
      日本薬剤学会第35年会

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公開日: 2021-12-27  

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