胃壁細胞におけるエストロゲン産生は発見以来、その制御機構や存在意義が明らかではなく、近年に脂質代謝への関与は報告されたが、直接的な制御因子の解明など基礎的研究は不十分であった。今回、同一細胞内で行なわれる事象であるにもかかわらず、胃酸分泌とは異なる制御機構である可能性が示唆された。これは胃壁細胞におけるエストロゲン産生のさらなる解明の足掛かりとなると考えられる。 また、癌患者の中で最も多い胃癌にはエストロゲン産生腫瘍が報告されていることから、胃のエストロゲン産生は胃癌との関連性も推察される。このことから、本研究のさらなる進展は胃癌の新たな治療・診断法開発の端緒となることが期待される。
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