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2019 年度 実施状況報告書

ピロリ菌感染に関連する高コレステロール血症の発症メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K16476
研究機関大分大学

研究代表者

二宮 遼  大分大学, 医学部, 助教 (00794041)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードピロリ菌 / CagA / LDL受容体
研究実績の概要

すでに筆者はショウジョウバエを用いたゲノム規模の遺伝学的スクリーニングにより、CagAの標的分子としてLow density lipoprotein receptor(LDL受容体)を同定し、細胞内でCagAとLDLRが物理的に結合することを発見している。本研究では「CagA蛋白質がLDL受容体との結合を介してLDLの細胞内への取り込みを阻害する」ことの証明を目的とし研究を進めている。
まず、CagAによりLDLの細胞内への取り込みが阻害されるか検討するため、胃癌細胞株であるAGS細胞を用いて、蛍光標識したLDLの細胞内への取り込みの差の解析を実施している。本実験の実施にあたって、ドキシサイクリン(Doxycycline)存在下でのみCagA発現誘導ができるAGS細胞株を樹立した。この成果により、効率的にCagA特異的なLDL取り込みへの影響を観察することが可能となった。現在、別の細胞株についても同遺伝子を導入しており、これらの細胞株を用いてCagAによるLDL取り込みへの影響を検討中である。
また、LDL受容体、CagAそれぞれにおいて、どの領域が直接結合に重要か検討するため、両遺伝子の変異型を作製した。変異型CagAは作製済みであったが、さらに、LDL受容体において、LDLの取り込みに重要なNPxY配列上のN (asparagine), Y (tyrosine) をそれぞれA (alanine) に置換した変異型LDLRを作製した。これら変異型を用いて共免疫沈降法を実施し、CagAとLDL受容体の結合様式について明らかにする。
これまで、ピロリ菌感染が全身性疾患を引き起こす機序は明らかになっていなかったが、本研究を進めることによって、CagAをもつピロリ菌感染と高コレステロール血症およびこれに伴う虚血性心疾患との因果関係を分子レベルから解明することが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CagAがLDLの細胞内への取り込みを阻害することを証明するため、当初は一過性のCagA強制発現細胞株を用いて実験を実施していた。しかし、CagA自身の細胞株への強い毒性を考慮し、かつ発現効率の向上のために、薬剤誘導性のCagA発現株を作製することとなった。クローニングに時間を要したため、当初の予定よりやや遅れが生じているが、すでにクローニングも終了しており、キットを使用したLDL取り込みの検討も実施中である。以上のことから、研究全体の進捗状況としては概ね順調であると考えている。

今後の研究の推進方策

これまでの研究成果を基に、研究計画に則って研究を推進する。
CagAとLDL受容体の因果関係について一層理解を深め、得られた研究成果については積極的に学会等で発信する予定である。

次年度使用額が生じた理由

細胞へのLDL取り込みの実験において、CagA発現細胞株の樹立および測定キットの条件検討にかなりの時間を要したため、予定通りの使用額とはならなかった。正確な実験結果を得るためにはさらなる検討が必須であり、測定キットを追加購入する計画である。
また、武漢コロナの影響により、いくつかの学会へ参加できなくなったため旅費を一部使用しなかった。
研究計画、使用予定金額について変更はなく、次年度への繰り越しが生じた。

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公開日: 2021-01-27  

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