研究課題/領域番号 |
19K16482
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
横山 拓矢 岩手医科大学, 医学部, 講師 (70772094)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 頚動脈小体 / 免疫組織化学 / 小胞型ヌクレオチド輸送体 |
研究実績の概要 |
ラット頚動脈小体におけるVNUTの遺伝子発現および免疫組織化学的局在を解析した。RT-PCR法によって頚動脈小体の抽出産物においてVNUTのmRNA増幅産物の発現が認められた。免疫組織化学法では、Synaptophysin陽性反応を示す化学受容細胞のうち、約23%の細胞にVNUT陽性反応が認められ、ATPの小胞分泌を専業とする化学受容細胞集団の存在が示唆された。VNUT陽性反応は、ドパミン合成酵素(チロシン水酸化酵素,TH)陽性反応を示す化学受容細胞の細胞集団に限局し、ノルアドレナリン合成酵素(ドパミンβ-水酸化酵素)陽性反応を示す化学受容細胞には観察されなかった。共焦点レーザー顕微鏡を用いた立体再構築法によって、P2X3型ATP受容体を発現する感覚神経終末は樹枝状や平板状といった多様な末端部を形成し、VNUTおよびTH陽性反応を示す化学受容細胞集団を緊密に取り囲んでいることが分かった。VNUT陽性化学受容細胞のP2X3陽性神経終末との接触面には、シナプス前部足場蛋白Bassoon陽性反応が集積しており、小胞分泌されたATPはシナプス伝達により感覚神経終末を興奮させることが示唆された。以上の結果から、VNUTは、感覚神経終末が選択的に分布するTH陽性化学受容細胞集団にのみ限局することが明らかとなった。VNUTを有する化学受容細胞が特異的にATPを小胞分泌し、頚動脈小体から感覚神経終末へ低酸素の情報を伝達している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、頚動脈小体におけるVNUTの発現および局在を論文として公表することができた。一方で、頚動脈小体スライス標本と蛍光標識ATPを併用したVNUTの機能解析実験および感覚神経の活動記録実験の進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
VNUTの機能解析実験に関して、スライス標本中の化学受容細胞では、蛍光標識ATPを取り込むことが難しい可能性がある。今後は、酵素消化により頚動脈小体から分離培養した化学受容細胞を用いて実験を継続する。
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