研究課題
若手研究
脊椎動物における精巣網細胞と中腎管の間での接続部位は,進化の過程で中腎表面における中腎細管の開口部(腎口)からボーマン嚢(中腎細管の先端)に移動したことが示唆された。加えて,哺乳類では形成されないとされていたlateral kidney canalが精巣網細胞の集団として発生すること,ならびに生後の精巣網はこのlateral kidney canalが精巣に取り込まれたものであることが示唆された。
発生生物学
精子を運ぶ経路(精路)の構造は脊椎動物種によって大きく異なり,各動物種の繁殖環境に適応した構造となっていることが考えられる。本研究課題では,両生類・鳥類・哺乳類において精細管から精巣上体に至る経路の形成過程を解析し,脊椎動物における精路形成機構の進化の一端を明らかにした。これらの成果は今後の分子学的解析の基盤となり,脊椎動物における精路形成機構に関する進化学研究がさらに発展することが期待される。