研究課題/領域番号 |
19K16494
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
國村 有弓 日本医科大学, 大学院医学研究科, ポストドクター (60801488)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 生殖 / 脳・神経 / 下垂体 / 受容体 / 性腺刺激ホルモン放出ホルモン |
研究実績の概要 |
本研究では近年問題となりつつある不妊症増加という社会的背景から、哺乳類の下垂体の性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)に対する感受性低下メカニズムの解明を目指す。非哺乳類と比べ、哺乳類の下垂体の感受性は抑制されやすいことが分かっており、これは下垂体に発現する受容体の一部配列が進化の過程で欠損したことによると示唆されているが、詳細なメカニズムの解明には至っていない。GnRH-RはGタンパク質共役型受容体の一つである。一般的なGタンパク質共役型受容体ではリガンド結合後に受容体が細胞内に取り込まれ、一時的に感受性が低下する。ヒトを含む哺乳類のGnRH-Rでは、受容体が細胞内に取り込まれる過程に障害があることで持続的なシグナル反応に応答できず、数分間のGnRH暴露の後には下垂体の感受性低下が引き起こされることが報告されている。本研究では、哺乳類で欠損しているGnRH受容体(GnRH-R)の一部配列を修復したモデル動物を作製することで下垂体の脱感作作用を明らかにし、生殖機能低下メカニズムの解明につなげる。 本年度は、モデル動物であるGnRH受容体の配列を修復した遺伝子改変マウスを作出し、実験に必要な動物が安定して得られるよう継代を続けた。この動物をもとに、哺乳類特有の生殖機能低下メカニズムの解明をすすめる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定では、作出した遺伝子改変動物のモデルとしての妥当性を検証するため、カルシウムイメージングを行い、性成熟、性周期、各種血中ホルモン濃度、生殖に関わる遺伝子発現、免疫陽性細胞数、妊孕性など、本モデルの生殖機能一般を確認するためのデータを取得する予定であったが、想定以上に動物の繁殖に時間を要したため、予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き繁殖を続け、遺伝子改変動物のモデルとしての妥当性を検証し、本モデルの生殖機能一般を確認するためのデータを取得する。その後、GnRHアゴニストを用いて下垂体の脱感作がGnRH-RのC末端欠損によるものか個体レベルで確認し、下垂体の反応性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
モデル動物の繁殖に時間を要しており、予定よりやや進捗が遅れていることから、予定していた実験にまだ着手しておらずその分の予算が未使用となった。動物の継代を続け、予定どおり実験を行い次年度に使用する予定である。
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