研究課題/領域番号 |
19K16496
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
喜多 知 福岡大学, 医学部, 講師 (50797107)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 褐色脂肪細胞 / 熱産生 / NCX |
研究実績の概要 |
肥満は、生活習慣病の発症に大きく影響することが知られており、早急な対策が社会的に求められている。脂肪細胞にはエネルギーを貯蓄し、肥満の原因となる白色脂肪細胞と、エネルギーを消費して熱産生する褐色脂肪細胞が存在する。寒い環境下では、体温が下がりすぎないように交感神経活動が亢進し、褐色脂肪細胞のミトコンドリア脱共役タンパク質であるUCP1の発現増加・活性化により、熱産生が起こる。最近、このUCP1の発現上昇には、細胞膜に局在する非選択的陽イオン透過性チャネルであるTRPV2を介したCa2+動員が関与することが報告された。しかし、細胞内Ca2+動員機構は複雑であり、褐色脂肪細胞の熱産生に関わる細胞内Ca2+動員機構については、さらに詳細な検討が必要である。 細胞膜に存在するNa+/Ca2+交換輸送体(NCX)には、Na+濃度勾配に従ってCa2+を細胞外へ排出するforward modeと、細胞内Na+濃度が増加する特殊な条件下で細胞外からCa2+を流入させるreverse modeの2種の輸送モードがある。哺乳類には3種の分子種(NCX1~3)が存在し、心筋・平滑筋細胞ではNCX1が高発現しており、細胞内Ca2+ホメオスタシスの維持や細胞内Ca2+シグナルの形成に関わることが知られている。しかし、褐色脂肪細胞におけるNCXの発現や機能はほぼ未解明である。 本研究では、褐色脂肪細胞の熱産生機序におけるNCX1の役割を解明することを目的とする。本年度は、全身性NCX1ヘテロ欠損マウスを用いた体温維持機能の検討に加え、脂肪細胞特異的NCX1欠損マウスを作成し、同様に体温維持機能を検討した。今後はこれらのマウス由来の初代培養褐色脂肪細胞を用いて、NCX1の体温維持機能への関与を分子レベルで検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述の通り、全身性NCX1ヘテロ欠損マウスに加えて、脂肪細胞特異的NCX1欠損マウスにおける体温維持機能の検討を行い、NCXアイソフォームの関与を示唆する結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
研究に用いたマウスより初代培養褐色脂肪細胞を調製し、それらを用いて熱産生機構におけるNCXの関与を分子レベルで検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大に伴い、学会参加に伴う旅費が不要となったため (オンラインにて参加)。
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