研究課題/領域番号 |
19K16503
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
藤田 融 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (80714675)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 貪食受容体 / MEGF10 |
研究実績の概要 |
Multiple-EGF like domains 10(MEGF10)は、ショウジョウバエの貪食受容体であるDraperの哺乳類ホモログとして同定された分子であり、脳内で不要となった細胞や分子の貪食除去に関わる受容体である事がわかっている。本研究では、アルツハイマー病の原因分子として報告されているアミロイドβ蛋白質(Aβ)の脳内からの除去にMEGF10が関与するかどうかを解明する事を目的に行う。また、Aβ貪食に関わるMEGF10以外の受容体においても明らかにする。 本年度は以下の点について解析を行った。(1)MEGF10の発現が認められている神経細胞、及びアストロサイトの培養細胞を用いて、Aβ(Aβ40、Aβ42、Aβ43)を取り込むかどうかを検討した。(2)アルツハイマー病モデルマウスの脳切片を用いて、脳内の神経細胞、及びアストロサイトがAβ(Aβ40、Aβ42、Aβ43)を取り込むかどうかを検討した。(3)MEGF10を過剰発現させた細胞を用いて、Aβ(Aβ40、Aβ42、Aβ43)の取り込み実験を行い、これらのAβの取り込みがMEGF10依存性であるかどうかを検討した。その結果、神経細胞およびアストロサイトは、MEGF10を介して沈着性・凝集性の高いAβ42とAβ43を取り込むが、沈着性・凝集性の低いAβ40においてはほとんど取り込まない事を明らかにした。これらの解析結果について現在論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アルツハイマー病の原因分子として報告されているAβの貪食除去において、神経細胞やアストロサイトがMEGF10を介してAβを取り込む事を明らかにできたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまで使用していた抗MEGF10抗体が市販されなくなり、また特異性の高い別の抗体が見つからなかったため、急遽抗体を作製する事にした。その抗体が作製できたら、AβによるMEGF10のリン酸化活性化実験を行う。 また、MEGF10以外の膜タンパク質(800種)について、Aβ貪食に関わる分子をスクリーニングする予定であったが、既知の受容体に的を絞って探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末の学会参加を予定していたが、コロナウィルス感染拡大により誌面開催となり、旅費分や必要経費が余ってしまったため。次年度に、試薬購入費や学会参加費に充てる。
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