研究実績の概要 |
2019年度:発作性心房細動犬モデル:慢性房室ブロック犬の心房を電気刺激し、有効不応期および心房内伝導時間を測定した。右心房を刺激周期10 msで高頻度刺激して心房細動を誘発し、持続時間を測定した。ドロネダロン(0.3および3 mg/kg/30 s, n=4)、オセルタミビル(3および30 mg/kg/10 min, n=4)、ラノラジン(0.3および3 mg/kg/10 min, n=4)の投与は、心房有効不応期を延長し、心房細動持続時間を短縮した。両者の変化の程度には相関が認められた。さらにピルジカイニド(1および3 mg/kg/10min, n=2)およびM201-A(0.3および3 mg/kg, n=2)を投与した。 2020年度:発作性心房細動犬モデル:2019年度と同用量のピルジカイニド(n=2)およびM201-A(n=1)を投与した。ピルジカイニドおよびM201-Aは心房有効不応期を延長し、心房細動持続時間を短縮した。両者の変化の程度には相関が認められた。持続性心房細動犬モデル:オセルタミビル(30 mg/kg/10 min, n=7)およびピルジカイニド(3 mg/kg/10min, n=8)を投与して心房細動停止に要した時間を測定した。オセルタミビルは7例中6例で、ピルジカイニドは8例中2例で心房細動を停止した。 2021年度:持続性心房細動犬モデル:M201-A(3 mg/kg/10 min, n=4)、ドロネダロン(3 mg/kg/30 s, n=4)およびラノラジン(3 mg/kg/10 min, n=1)を投与し、同様に測定を行った。M201-Aは4例中1例において心房細動を停止した。この結果は既存の抗不整脈薬と同程度の効果であった。致死性心室不整脈の発生は認められなかった。ドロネダロンは4例中2例で、ラノラジンは1例中0例で心房細動を停止した。
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