研究課題/領域番号 |
19K16506
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田中 昌子 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (00733651)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 抗がん剤耐性 / 分子シャペロン / プロテオスタシス / インタラクトーム / 胃がん |
研究実績の概要 |
がん細胞は1つの細胞障害性抗がん剤に対して耐性を獲得すると、作用機序の異なる他の種類の抗がん剤に対しても耐性を示すようになる。多剤耐性の獲得は二次治療以降の治療成績を下げるため、耐性の分子機構の解明と克服は重要な課題である。申請者はタンパク質の立体構造を安定化する分子シャペロンに着目し、細胞内で分子シャペロンと結合するタンパク質を解析することで、抗がん剤の耐性因子を同定してきた。分子シャペロンと結合するタンパク質はストレスの種類に応じて変化することから、それぞれの薬剤に耐性となったがん細胞に共通する因子を見つけることが、多剤耐性の分子機構解明に繋がると仮説を立てた。前年度までに、作用機序の異なる4種類の細胞障害性抗がん剤にそれぞれ耐性となった胃がん細胞株を試料に、分子シャペロンであるHsp70の結合タンパク質を同定および比較解析した。その結果、すべての抗がん剤耐性株に共通するタンパク質を6、さらに、すべての抗がん剤に交差耐性を示すパクリタキセル耐性株とオキサリプラチン耐性株に特異的に検出されるタンパク質を31見出し、これらを耐性候補因子とした。本年度はすべての耐性株に共通する6因子を中心に解析を進めたが、抗がん剤の感受性ではなく、がん細胞の生存に寄与する因子である可能性があるため、パクリタキセルまたはオキサリプラチン耐性株で検出された31因子まで解析対象を増やした。これらの候補因子をRNAiを介した遺伝子サイレンシングにより機能阻害し、耐性の解除能を評価することで、耐性因子を同定する。細胞生存アッセイにより求めた用量反応曲線からIC50値を算出し、IC50値の減少率を指標に上位3因子を再び選抜中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
候補分子の同定が難航しているため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き、多剤耐性に関与する因子のスクリーニングを実施する。また、スクリーニングした因子が遺伝子レベルで発現上昇しているのか、またHsp70により安定化されることが耐性を生じさせるのか検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
候補分子の同定が難航しており、本年度予定していた実験に着手できなかったため。
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