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2019 年度 実施状況報告書

MCU/NCLX輸送バランス異常に基づく肺高血圧発症機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K16509
研究機関福岡大学

研究代表者

田頭 秀章  福岡大学, 医学部, 講師 (90735028)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードミトコンドリア / 肺高血圧症
研究実績の概要

肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、肺血管過収縮や肺血管リモデリングにより肺小動脈が狭窄し、平均肺動脈圧が25 mmHg以上となる難治性の疾患であり、肺動脈圧の高い状態が続くことにより右心不全に至る。肺血管過収縮や肺血管リモデリングの原因として、肺動脈平滑筋細胞のCa2+制御異常が推察されているが、その分子機序の詳細は不明である。現在、PAH治療薬として、プロスタサイクリン製剤、エンドセリン受容体拮抗薬、PDE5阻害薬などの血管拡張薬が臨床応用されているが、重症例では肺移植が必要となることも多く、予後の十分な改善には至っていない。喫緊の課題として、PAHの発症機序の全容解明と有効な新規治療薬の開発が望まれている。近年、ミトコンドリア内膜に存在するCa2+輸送体として、Ca2+流入系であるMCUとCa2+流出系のNCLXが同定された。しかしながら、これらミトコンドリアCa2+輸送体の生理学的役割および病態学的意義については未だ不明な点が多い。
本年度は、各種ミトコンドリアCa2+輸送体の血管平滑筋特異的高発現マウスを用いて、低酸素誘発PAHモデル実験を実施した。これまでの実験結果により、低酸素誘発PAHモデル実験においてPAHの病態が重症化するミトコンドリアCa2+輸送体高発現マウスを見出した。そこで、現在、このミトコンドリアCa2+輸送体の遺伝子欠損マウスを用いた低酸素誘発PAHモデル実験を実施する準備を進めている。また、今後は、in vivo病態モデル実験のみならず、ミトコンドリアCa2+輸送体の遺伝子改変マウスから調製した培養肺動脈平滑筋細胞を用いて、低酸素処置による血管平滑筋細胞内Ca2+シグナル異常および細胞増殖機能変化についてin vitro実験を進めていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前述のとおり、研究計画に基づいて、各種ミトコンドリアCa2+輸送体高発現マウスの低酸素誘発肺高血圧モデル実験を実施し、その病態機序に関わるミトコンドリアCa2+輸送体を見出した。

今後の研究の推進方策

今後は、実験計画に基づいて、ミトコンドリアCa2+輸送体の各種遺伝子欠損マウスを用いた低酸素誘発PAHモデル実験を実施する予定である。また、ミトコンドリアCa2+輸送体の各種遺伝子改変マウスから調製した培養肺動脈平滑筋細胞を用いて、低酸素処置による血管平滑筋細胞内Ca2+シグナル異常および細胞増殖機能変化についてin vitro実験を実施する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Na+/Ca2+交換輸送体の構造・機能の解明から治療への応用2019

    • 著者名/発表者名
      岩本 隆宏, 田頭 秀章, 喜多 紗斗美
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 271 ページ: 42-48

  • [学会発表] 血管平滑筋NCX1を介したCa2+シグナル異常は低酸素誘発性肺高血圧の発症に関与する2020

    • 著者名/発表者名
      田頭秀章、永田旭、喜多知、阿部弘太郎、岩本隆宏
    • 学会等名
      第49回日本心脈管作動物質学会年会
  • [学会発表] Development of a new model mouse for Mg metabolism disorder targeted for functional suppressing TRPM72020

    • 著者名/発表者名
      Hideaki Tagashira, Tomo Kita, Tomohiro Numata, Satomi Kita, Takahiro Iwamoto.
    • 学会等名
      第93回日本薬理学会年会
  • [学会発表] 低酸素誘発肺高血圧発症に血管平滑筋NCX1を介したCa2+シグナル異常が関与する2019

    • 著者名/発表者名
      田頭秀章、喜多紗斗美、喜多知、岩本隆宏
    • 学会等名
      第4回黒潮カンファレンス
  • [学会発表] Vascular smooth muscle NCX1 is involved in the development of hypoxia-induced pulmonary arterial hypertension2019

    • 著者名/発表者名
      Hideaki Tagashira, Asahi Nagata, Satomi Kita, Tomo Kita, Akinori Iwasaki, Kohtaro Abe, Takahiro Iwamoto.
    • 学会等名
      The 50th NIPS International Symposium
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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