研究課題/領域番号 |
19K16511
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大槻 晃史 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (30778022)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 転写因子 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
sMaf群転写因子は、酸化ストレス応答のマスター転写因子であるNrf2をはじめとするCNC群転写因子とのヘテロ二量体を形成することで、様々な生体防御遺伝子の発現を誘導する。またそれ以外にも、sMaf群転写因子自身がホモ二量体化することによって標的遺伝子の抑制性制御に関わっていると考えられている。細胞内では、sMafおよびCNC両因子存在比に応じて、様々な組み合わせの二量体が形成されうるが、それぞれの二量体がどのような標的遺伝子の発現を選択的に制御するかという点は十分に明らかではない。既に申請者らのグループでは、sMaf因子を欠失したマウス線維芽細胞(sMaf三重欠失細胞)株において、リンカーペプチドで結合した二量体を強制的に発現させる実験系の構築に成功しており、CNC群転写因子Nrf2とsMafとの二量体リンカー分子を用いた機能解析を行っていた。 そこで申請者らは、同様の実験系を用いてsMafホモ二量体を選択的に発現させることで、sMafホモ二量体が制御する標的遺伝子を明らかにしようと試みた。これまでに、sMaf群因子のひとつであるMafG同士をリンカーペプチドで結合させた分子(MafGホモ二量体)を発現させるためのプラスミドベクター構築を作成し、得られた構築をsMaf三重欠失細胞株に強制発現させることで、sMafレスキュー細胞株の樹立および実験系の構築を進めている。当初の予定よりレスキュー細胞系の樹立に時間がかかっており、計画当初の予定よりやや遅れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
sMafホモ二量体リンカー分子を用いたレスキュー細胞株の樹立を進めたものの、十分な発現量を示すクローンを得ることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
プラスミド構築の最適化を図ることで、sMafレスキュー細胞株を進める。その後、得られた細胞株を用いたクロマチン免疫沈降シークエンス(ChIP-Seq)およびRNAシークエンス(RNA-Seq)解析を実施し、sMafホモ二量体を発現させた際に抑制性制御を受ける遺伝子を同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度に予定していた実験について計画の遅延があったため、次年度使用額が生じた。実験系構築の後、次世代シーケンサーを用いた網羅的解析を実施予定であり、物品費としての計上を見込んでいる。
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