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2021 年度 実施状況報告書

m7GTP capを介した新規翻訳制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K16516
研究機関名古屋大学

研究代表者

浜口 知成  名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (90812149)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードm7GTP / RNA-タンパク質結合 / GEMIN4 / ストレス
研究実績の概要

mRNAの5'末端にあるm7GTP capは、翻訳や輸送といったmRNA代謝に必須な化学修飾構造である。ヒ素による酸化ストレス下でのm7GTP capの役割は全く知られていない。ヒ素濃度依存性にm7GTPと結合するタンパク質としてGEMIN4を同定した。最新のRNA-タンパク質相互作用解析法を用いて、GEMIN4の生体内結合RNAの次世代シークエンス解析を行ったところ、ヒ素濃度依存性にリボソームタンパク質遺伝子を中心とする数千を超える遺伝子mRNAのm7GTP capに結合していた。また、rRNAにも結合していた。ヒ素刺激によりm7GTP capped mRNAは内在性GEMIN4と共沈した。レポーターアッセイでは、GEMIN4がヒ素濃度依存的に翻訳を抑制することが判明した。pulsed SILAC法(Stable Isotope Labeling using Amino acids in Cell culture)を用いて、GEMIN4が酸化ストレス依存的にリボソームタンパク質等の翻訳を抑制することが判明した。しかし、 共同研究協力のもとRibosomal profilingを実施したが、翻訳抑制を支持するデータが得られなかった。m7GTPと GEMIN4の結合にメチル化修飾が関与していることが、阻害剤を使った結合実験から明らかになった。免疫染色を行ったところ、GEMIN4は定常状態では細胞質に存在し、酸化ストレス刺激に伴い細胞質に凝集していく形態変化を認めた。しかし、これはストレス顆粒とは共局在しない。総じて、薬剤によるメチル化修飾によってm7GTPとGEMIN4が結合が明らかとなったが、その生物学的意味は未解明である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

メチル化修飾でm7GTPとGEMIN4が結合を強めることは見出だした。ヒ素添加のもと、in vivoおよびin vitroの結合実験で示した。そして、m7GTPとGEMIN4の相互作用が翻訳抑制機構に関わっているとの仮説のもと、実験を進めてきた。レポーターアッセー、pulsed SILACを用いた定量プロテオミクス、Ribosomal profiling、そしてPolysome fractionationを実施してきた。現状では、これらの結果を統合させると、翻訳抑制作用は強くはないと考えている。この相互作用がもたらす生物学的意義を考え直す必要があるかもしれない。ヒ素刺激応答による細胞内局在の変化を捉えている。そこを起点として実験を進めている。

今後の研究の推進方策

in vitro transcriptionで得た合成RNAにm7GTP cappingを行い、m7GTP付加RNAを得る。この実験をヒ素刺激下で実施しながらGEMIN4とm7GTP付加RNAを得た上で、in vitro binding assayを実施する予定にする。免疫染色を行ったところ、GEMIN4は定常状態では細胞質に存在し、酸化ストレス刺激に伴い細胞質に凝集していく形態変化を認めた。ただし、stress granuleとは一致しない。この凝集変化で収束していく顆粒がいったい何かを探索する実験を組んでいく。

次年度使用額が生じた理由

m7GTPとGEMIN4の結合よる生物学的意義の研究を続けている。新しい実験(タンパク質精製やRNA合成、染色のための試薬)を実施していく予定であるため、費用を集約しておくことにした。

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公開日: 2022-12-28  

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