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2019 年度 実施状況報告書

AAVベクターの感染阻害機序の解明と新規中和抗体除去法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K16526
研究機関自治医科大学

研究代表者

平本 貴史  自治医科大学, 医学部, 特命助教 (00725062)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードAAV / 中和抗体
研究実績の概要

本年は次年度のマウスを用いた検討に向け、カラムを用いた抗体除去システムの開発と免疫応答において重要なMHCを破壊するシステムの開発を行った。
まず、カラム吸着が可能となるようにアデノ随伴ウイルス(AAV)のカプシドタンパク質VP2のN'末端、あるいは細胞外ドメインにFLAG配列を挿入した。この改変VP2タンパク質および野生型VP2タンパク質を他のヘルパープラスミドとともに293細胞に遺伝子導入することにより血清型8型AAVベクターを作製した。VP2タンパク改変AAVベクターにおけるFLAGタンパク質発現はウエスタンブロット法にて確認でき、また細胞に感染させた際、野生型と比較し感染効率の低下が確認できた。特に細胞外ドメインにFLAG配列を挿入したAAVベクターは細胞に対する感染性を失っていることがわかった。次にFLAG発現シュードタイプAAVを取り除くことを目的として、イオン交換クロマトグラフィー法によるAAV精製法を検討した。その結果シュードタイプAAVを効率よく除去することが可能となった。現在、抗FLAG抗体を用いて精製したFLAG発現AAVベクターをカラムへ吸着させる条件検討を行なっている。
また、RNA編集が可能なCas13bおよびCas13dを用いて、免疫応答に必須なMHCクラスIのノックダウンを行った。MHCクラスI発現に必須なβ2-マイクログロブリンを標的としてガイドRNAを6つ設計し、細胞に遺伝子導入しMHC class Iに対する抗体を用いて検討を行なった。しかし、全てにおいてMHC class I発現の低下は認められず、そもそも強力なプラモーターを用いた場合でもCas13b、あるいはCas13dは発現量が低いことがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は中和抗体除去法に関して、AAVをカラムに吸着させる方法についてある程度見通しをつけることができた。来年度は実際、中和抗体をどの程度除去可能であるかについて検討を行う予定である。MHCクラスIを破壊するシステムの構築はできなかったが、すでにMHCクラスI、クラスIIともに発現減少が認められるマウスが手に入る状態であるためそこまで問題がないと考える。

今後の研究の推進方策

来年度は本年度作製した中和抗体除去システムをin vitroにて確認を行なう予定である。
まず、FLAG発現AAVベクターおよび野生型AAVベクターを血清型8型AAVベクターの感染効率がよいHuh7細胞を用いて、中和抗体除去前後での感染効率の違いをルシフェラーゼ等を用いて検討を行う。また中和抗体量を変化させることにより、除去可能な中和抗体量を決定する。
また、マウスを用いたin vivo検討も開始する予定である。
凝固因子発現AAVベクターをマウスへ静脈投与し、投与前後で経時的に末梢血より採血し、抗体量をELISA法によって定量する。また血清成分中の抗体をカラムによって精製する。精製した抗体存在下、AAVベクターを細胞に感染させ抗体量とAAVベクター感染効率の相関について検討を行う。また、上記の中和抗体除去システムにって抗体を除去可能であるか検討を行い、同時に除去の有無によるAAVベクターの感染効率の違いについて検討を行う。
また昨今、中和抗体の影響を受けにくいエクソソーム内包型AAV(exoAAV)ベクターが報告されている。このexoAAVベクターを静脈投与した場合にける抗体産生について、通常AAVベクター投与と比較検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

当年は予定していた実験の一部がうまくいかなかったためマウスを用いた実験まで行うことができなかった。
次年度において、当初予定していたin vivo実験を行う予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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