研究課題/領域番号 |
19K16542
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大谷 裕一郎 広島大学, 病院(医), 助教 (00817091)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Ints6 / コンディショナルノックアウトマウス |
研究実績の概要 |
Integrator complex のサブユニットの一つであるIntegrator complex subunit 6 (Ints6)は以前Deleted in cancer cells-1(DICE-1)と呼ばれていた経緯があり、癌抑制遺伝子としても注目されている。さらにInts6は糖尿病の病態にも関わっている可能性が高く、その制御は癌や糖尿病という人類が直面する課題の治療戦略として期待される。 本年度の研究実績としてはIntegrator complex のサブユニットの一つであるIntegrator complex subunit 6 (Ints6)のコンディショナルノックアウトマウスの産出に至ったことである。Ints6とhomologous なタンパク質の報告はこれまでになく、その機能も未解明でプロモターもはっきりとしていないためcKOも胎性致死や生育不良となり、十分な解析が行えない可能性が考えられる。実際、Integrator complex subunit 1(IntS1)のノックアウトマウスは胚盤胞早期で発生が停止しアポトーシスを起こすことが報告されている(Toshiyuki Hata , Manabu Nakayama. Biochim Biophys Acta 2007 Jul ; 1773 (7):1039-51.)。従って申請者はプロモーターに影響を与える可能性の高いExon1をfloxedとせず、1つのExonを含む1.1 kilo base pairs(以下Kbp)をFloxedのターゲットとし全2652 bpのうち、約1k base pairsでフレームシフトを誘導しInts6を欠失させる計画とし、当初研究計画中にあるInts6 conditional knockout マウスとなりうるInts6 Floxed/Floxed, Adipoq-Cre-ERT2 マウスの産出に至った。現在安定したコンディショナルノックアウトマウスの供給のため凍結受精卵の確保作業を行なっている。また、3T3L-1 preadipocyte を用いた細胞実験では、Ints6 が細胞の増殖やアポトーシスに影響を与えている可能性を示唆するデーターも得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の流行に伴い、研究時間が限られ、さらに学会発表なども行うことができていない。
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今後の研究の推進方策 |
2019年以降、ICの研究が世界で注目される中、幸運なことにInts6 cKO の産出の最終段階を迎えている。このプロジェクトをより確実で質の高いものとするために広島大学自然科学研究支援開発センター、同医系科学研究科医化学教室との共同研究とし新たにInts6 プロジェクトを立ち上げ、研究計画の拡大と拡充、推進を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス流行に伴い、総合診療科として診療にエフォートを割く必要があり、コンディショナルノックアウトマウスの作成に遅れが生じ、解析に必要な経費として次年度使用額が生じた。
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