研究課題/領域番号 |
19K16553
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
谷 優佑 新潟大学, 医歯学系, 助教 (50835684)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 潰瘍性大腸炎 / 大腸癌 / DNA二重鎖切断 / DNA損傷応答 |
研究実績の概要 |
潰瘍性大腸炎(UC)は近年本邦で急増している炎症性腸疾患で、長期経過例には大腸癌発生のリスクがあり、発癌リスクを予測する新たなバイオマーカーの開発が期待されている。炎症性発癌のリスクを層別化できれば、UC患者のサーベイランスをより効率的かつ効果的に行うことができる。我々はこれまでに、UCの大腸上皮細胞にはDNA二重鎖切断(DSB)とそれに対するDNA損傷応答(DDR)の破綻が炎症性発癌に先立って起きていることを見出してきた。本研究はこの結果を踏まえて、UC症例の大腸粘膜生検組織におけるDSBとDDRの状態を調べ、これらが炎症性発癌リスクを層別化するバイオマーカーとなりうるかを検討することを目的とした。 令和元年度は、対象となるUC症例を抽出するために、2000年以降に新潟大学医歯学総合病院やその関連病院で大腸から標本採取され、ホルマリン固定パラフィン包埋切片を作成したうえで病理診断された、UC症例の病理組織検体を確認した。検体は生検1051件、内視鏡切除18件、外科的切除79件、採取方法不明1件の、合計1149で件あった。この中から同一症例をまとめて、最終的に癌と診断されなかった非担癌症例は60症例、最終的に癌と診断された担癌症例は48症例のデータベースを得た。ただし非担癌症例は標本数が膨大であったため、最新の検体採取が直近のものから60症例を選定した。各症例、過去に1~14回、大腸から検体採取されており、罹患年数は担癌症例で平均15.3年、非担癌症例で平均8.6年であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究遂行のためには、過去に大腸組織標本を採取され、最終的な発癌の有無が判っている多数の症例のデータベースが必要である。当初目標としていた担癌症例30例、非担癌症例60例を超える症例を蓄積できたことから、概ね順調な進捗状況と判断される。
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今後の研究の推進方策 |
検討対象として十分な症例データベースを得られたことから、対象症例の選定は終了し、今後これらのホルマリン固定パラフィン包埋ブロックから未染標本を作製し、DNA二重鎖切断およびその修復応答に関する蛍光免疫染色学的評価を進めていく予定である。
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