研究課題/領域番号 |
19K16554
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
大石 直輝 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (90623661)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | B細胞リンパ腫 / 濾胞性リンパ腫 / in situ リンパ腫 / 遺伝子異常 / 遺伝子発現異常 |
研究実績の概要 |
研究初年度は、山梨大学医学部附属病院でリンパ節郭清を受けた非リンパ腫患者299症例を対象に、in situ follicular neoplasm (ISFN)のスクリーニングをおこなった。検索したリンパ節は合計4881個 (範囲: 1症例あたり1-81個)、うち胚中心を含むリンパ節の合計3209個(範囲: 1症例あたり0-52個)であった。このなかで、6例のISFNが同定された。したがって、現時点の検討で、ISFNの頻度は2.0%と推定される。 6例のISFNは、男性3例、女性3例であり、年齢中央値は58歳(範囲45-80歳)であった。経過観察期間の中央値は60ヶ月(範囲47-68ヶ月)で、濾胞性リンパ腫への進展は1例も認められなかった。免疫組織化学による検討で、胚中心に限局したCD20+/CD10+/BCL6+/BCL2+/Ki67 lowの細胞集団が確認され、ISFNに合致する免疫表現型であった。また、胚中心をほとんど置換するものから、散在性に分布するものまで、ISFN細胞の進展は多様であった。さらに、break apart FISHによる検討で、すべての症例でBCL2遺伝子のsplitが観察された。 上記ISFNについては、レーザーキャプチャー・マイクロダイセクションのうえDNA/RNAの抽出をおこなった。RNAについては病変が微小で十分な量が採取できなかったが、DNAについては一定量抽出することができ、今後変異解析が可能と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RNAについては十分な量を抽出できなかったが、当初予定していた計画はおおむね遂行できている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は①ISFNのスクリーニングを継続し本邦における頻度を確立する、②ISFNの遺伝子異常をターゲットシークエンスを用いて解析する、ことに重点を置き、研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初おこなう予定であった遺伝子発現解析について、利用可能な解析方法の選定に時間がかかり初年度中に執行できなかったため。また、COVID-19のため当初予定していた国際学会への参加を取りやめたため。翌年度は症例数を増やしmulti-omics解析をすることで対応する。
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