① リンパ節郭清を受けた非リンパ腫患者340症例を対象に、in situ follicular neoplasm (ISFN)のスクリーニングをおこなった。検索したリンパ節は合計5700個 (1症例あたり1-81個)、うち胚中心を含むリンパ節の合計3685個(1症例あたり平均10.8個)であった。このなかで、7例のISFNが同定された。したがって、現時点の検討で、ISFNの頻度は2.0%と推定される。 ② 7例のISFNは、男性4例、女性3例であり、年齢中央値は60歳(範囲45-80歳)であった。経過観察期間の中央値は59ヶ月(範囲47-68ヶ月)で、濾胞性リンパ腫への進展は認められなかった。免疫組織化学による検討で、胚中心に限局したCD20+/CD10+/BCL6+/BCL2+/Ki67 lowの細胞集団が確認された。また、FISHによる検討で、BCL2遺伝子のsplitが観察された。 ③ 上記ISFNについては、レーザーキャプチャー・マイクロダイセクションのうえDNA/RNAの抽出をおこなった。十分な量のDNAを抽出できたのは5例で、これらの遺伝子異常をwhole-exome sequencingで解析した。現在、sequencing dataを解析中である。 ④ 一方、RNAについては十分な量を抽出できず、遺伝子発現解析をおこなうことができなかった。 ⑤ 本研究によって、本邦におけるISFNの頻度、臨床像、遺伝子異常を統合的に解析でき、国際学術誌への投稿を準備している。
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