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2020 年度 実施状況報告書

ヒトにおける残留性有機汚染物質等の汚染・蓄積の 実態及び疾患との関連性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K16559
研究機関九州大学

研究代表者

立石 悠基  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60736429)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード人体病理学 / 残留性有機汚染物質
研究実績の概要

世の中では様々な化学物質が使用されており、その中でも世界的に残留性有機汚染物質(POPs)が問題になっている。また、これまで医学の中では癌、認知症などの疾患や遺伝子異常などにのみ注目され環境を経由したPOPs等の汚染・蓄積などについての研究は皆無である。さらに、野生生物等を対象にした研究からPOPs等の汚染・蓄積が問題視されてきたがヒトへの調査については尿などの一部の検体を除くとヒトの検体を扱うことの困難さがあり、皆無である。
POPs等は有機物質でありホルマリン固定標本ではホルマリン中へ漏出してしまい汚染・蓄積を確認できないため各種組織サンプルを採取し凍結保存することとした。ヒトでの実際の汚染・蓄積についてのデータがないため本研究ではヒトにおける残留性有機汚染物質等が最も蓄積していると考えられる剖検症例の組織サンプルを採取し残留性有機汚染物質の汚染・蓄積の実態の解析を開始した。臓器としては当初予定していた皮下脂肪、脳、心臓、肝臓、腎臓、膵臓、消化管のみならず血液や生殖器などの採取も行った。また、1年目は特に高齢の少数症例の脂肪組織検体からPOPs等の検出を確認した。2年目は幅広い年代の多数症例で検出できるかを確認することとし、測定は質量分析器(GC×GC HRToFMSなど) による高感度分析を実施した。分析の結果、主なPOPsであるポリ塩化ビフェニル(PCBs)、ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)、有機塩素系農薬類(OCPs)、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCDs)がいずれの症例においても検出できることを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒトにおける残留性有機汚染物質等が最も蓄積していると考えられる剖検症例の組織を採取し残留性有機汚染物質の汚染・蓄積の実態を解析した。
POPs等は有機物質でありホルマリン固定標本ではホルマリン中へ漏出してしまい汚染・蓄積を確認できないため剖検症例の組織サンプルを採取し凍結保存した。臓器としては当初予定していた皮下脂肪、脳、心臓、肝臓、腎臓、膵臓、消化管のみならず血液や生殖器などを合計約60症例で採取した。また、初年度は高齢の少数症例、2年目は幅広い年代の多数症例の脂肪組織検体から質量分析器(GC×GC HRToFMSなど)による高感度分析を実施し主なPOPsであるポリ塩化ビフェニル(PCBs)、ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)、有機塩素系農薬類(OCPs)、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCDs)がいずれの症例においてもが検出できることを確認した。

今後の研究の推進方策

ヒトでの実際の汚染・蓄積についてのデータがないためもっとも蓄積が多いと考えられる剖検症例で検体の採取及び測定を行う。POPs等は有機物質でありホルマリン固定標本ではホルマリン中へ漏出してしまい汚染・蓄積を確認できないため今後も剖検症例の組織サンプルを採取し凍結保存を継続する。臓器としては引き続き皮下脂肪、脳、心臓、肝臓、腎臓、膵臓、消化管、血液、生殖器などとする。また、3年目は脂肪組織以外の検体で様々なPOPs等の汚染・蓄積を解析し、検出される物質の検討を行う。

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公開日: 2021-12-27  

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