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2020 年度 実施状況報告書

アトピー性皮膚炎におけるp63/p73依存性の偏倚状態ケラチノサイトの一元的理解

研究課題

研究課題/領域番号 19K16562
研究機関札幌医科大学

研究代表者

久保 輝文  札幌医科大学, 医学部, 助教 (90580019)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードΔNp63 / IL-13 / アトピー性皮膚炎 / 上皮細胞 / ケラチノサイト / 物理バリア / サイトカイン
研究実績の概要

昨年度に確立した実験系を元にして、ケラチノサイトに対する分化段階におけるIL-4/IL-13の持続的曝露がΔNp63の発現低下を抑制することが明らかとなった。また、3次元培養においてIL-13の刺激はケラチノサイトの肥厚をもたらすことが分かった。このとき、顆粒層は保たれていた。一方で、ΔNp63は分化前あるいは分化後の短時間のIL-13曝露ではタンパク質レベルでの発現変化はみられず、IL-13は脱分化を誘導するというよりは分化を阻害していると考えられた。

ΔNp63の発現ノックダウンによって遺伝子発現の変化が観察されたアトピー性皮膚炎に関連する一部のバリア機能分子および炎症性サイトカインは、分化の過程におけるIL-13曝露においてもΔNp63の機能に矛盾しない発現の変化が見られた。したがってもアトピー性皮膚炎の病態形成におけるケラチノサイトのバリア機能分子の発現異常と免疫応答にはIL-13-ΔNp63軸の関与が示唆された。

さらに、IL-22も同様の実験系でケラチノサイトの分化に与える影響を検討した。3次元培養においてIL-22の持続的曝露はケラチノサイトの肥厚性増殖と錯角化および顆粒層の消失をきたした。つまり、IL-22刺激はケラチノサイトが肥厚するという点ではIL-13刺激時と類似していたものの、顆粒層と錯角化の点で形態学的な相違がみられた。IL-22刺激は予想された通り、ΔNp63の発現に影響はなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アトピー性皮膚炎の病態形成に重要な役割を果たすIL-4/IL-13がΔNp63の発現変化を通じてケラチノサイトのバリア機能と免疫応答を調節することにつき、論文受理に至っており、研究計画における一定の成果と区切りが得られたものと考える。

今後の研究の推進方策

これまでの過程でΔNp63に影響を与える外的あるいは内的刺激は、IL-4/IL-13以外にも見出されており、これらの影響についても検討したい。また、同じくp53ファミリー転写因子であるp73の発現変化とその影響についても検討を進めていく予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] IL‐13 modulates ΔNp63 levels causing altered expression of barrier‐ and inflammation‐related molecules in human keratinocytes: A possible explanation for chronicity of atopic dermatitis2021

    • 著者名/発表者名
      Terufumi Kubo, Sayuri Sato, Tokimasa Hida, Tomoyuki Minowa, Yoshihiko Hirohashi, Tomohide Tsukahara, Takayuki Kanaseki, Kenji Murata, Hisashi Uhara ,Toshihiko Torigoe
    • 雑誌名

      Immunity, Inflammation and Disease

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1002/iid3.427.

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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