高分化型脂肪肉腫はMDM2遺伝子増幅という共通した特徴を有する一方で、脂肪腫様・硬化型・炎症性という主に3つの組織亜型が不均一に混在する組織像を示す。MDM2増幅に加えてそれらの組織亜型の形成に関与する分子メカニズムが存在すると考えられることから、網羅的RNA発現データの比較を亜型間で行い、特徴となる分子を探索した。本研究では、脂肪腫亜型と硬化性亜型を有する6症例の網羅的発現データから、線維化に関与する分子の探索に特に注力した。結果として、硬化性亜型において高発現するRNAが9個見出され、そのいくつかはタンパク発現の検討が可能であった。しかし多数例の検討で、亜型に対する特異性は見出せなかった。
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