研究課題
若手研究
放射線被曝による白血病発症は広く認識されているが、その分子学的な発症機構は十分解明されていない。本研究では、原爆被爆者における白血病発症リスクが最も高かった時期である1980年以前の白血病症例に着目した。そして、1980年以前より保存されている病理標本から抽出したDNA/RNAを用いて、分子病理学的解析方法を確立した。また、更に詳しくそれら白血病症例の特徴をみるために、ハイスループットシーケンスを用いたゲノム解析を実施中である。
造血器腫瘍
これまで放射線被曝と白血病発症の関係は主に疫学的研究によって評価されてきた。今回の研究では、放射線被曝の影響が強くみられるサンプルを用いて分子病理学的解析が実施可能であることが明らかとなった。この方法を用いて白血病症例の分子病理学的特徴を詳細に評価することで、放射線被曝によりどのようにして白血病が発症するのかについて解明できる可能性がある。そしてその解明は、今後医療放射線被曝などにおいて白血病予防や早期診断・治療などへの応用につながりうる。