研究課題/領域番号 |
19K16580
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中島 誠 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任研究員 (30733232)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | CD30 / ATL / HTLV-1 |
研究実績の概要 |
ATLはHTLV-1感染を原因とするT細胞性腫瘍である。大量化学療法および造血幹細胞移植など実施されているが、早期の再発および難治性のため、最も予後の悪い造血器腫瘍性疾患となっている。したがって新規治療法の開発が急務であるが、ATLの病態進展機序が依然として不明なため、目指すべき治療コンセプトが確立できていない。申請者らは最新の研究で、CD30陽性HTLV-1感染細胞はCD30リガンドを介したCD30シグナルにより感染者の病態の進行と共に増加し、細胞内で染色体異常を誘発させ、病態の進行に直接関与しうることを報告した(Nakashima et al., 2018)。本研究はこれらを発展させたものであり、CD30陽性HTLV-1感染細胞の染色体構造異常および遺伝子変異は、早期癌の時点で他の集団に先駆けて生じていること、さらにCD30リガンドを介したCD30シグナルはゲノム不安定性を誘導することを明らかにし、CD30シグナルと病態進展の関連をゲノムレベルで示すことを目的としている。今年度は染色体構造解析の実験系を確立し、早期癌に分類される慢性型ATL患者と劇症型である急性型ATL患者の腫瘍細胞をCD30発現で分画して解析を実施した。CD30陽性ATL細胞は、CD30陰性ATL細胞と比較して染色体構造変異を蓄積する結果が得られている。さらにCD30シグナルによる染色体不安定性の誘導についても予備的検討を行い、それを示唆する結果が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
染色体構造解析の実験系を確立でき、臨床検体を用いた解析が順調に進んでいる。同症例のエクソーム解析にも取りかかれており、統合解析の準備も出来ている。CD30シグナルによる染色体不安定性の誘導についても予備的検討をすでに行っており、それを示唆する結果が得られている。以上より、本研究は順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
CD30陽性ATL細胞およびCD30陰性ATL細胞の染色体構造解析およびエクソーム解析の症例数を病態別に増やし、得られたゲノム変異情報と臨床データを統合し、CD30発現と病態進展の関連についてゲノムレベルで比較解析する。CD30シグナルによる染色体不安定性の誘導を証明し、さらにCD30シグナルによって変異を起こしやすいゲノム領域を特定する。これらの結果を合わせて、CD30シグナルがATLの病態進展に直接的に関連することを示す。
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