研究課題/領域番号 |
19K16581
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山澤 翔 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80824789)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 胃癌 / 胎児形質胃癌 / 腫瘍免疫 / 免疫染色 |
研究実績の概要 |
AFP産生胃癌を始めとする胎児型の形質を呈する胃癌は高悪性度な胃癌として知られる。近年免疫療法が隆盛となり多くの癌種にて治療法の開発が進められている。胃癌においても一部(EBウイルス関連胃癌やMSI胃癌)ではPD-L1の高発現が報告され治療ターゲットとして注目されているが、AFP産生胃癌では免疫形質は知られていない。我々はAFP産生胃癌における免疫回避機構の発現を検討した。特に非古典的MHCクラスIタンパク質の一つで胎盤などに発現して胎児の腫瘍細胞の免疫回避機構にも関わるHLA-Gに注目をした。手術切除検体のWhole slideの免疫染色による検討において、AFP産生胃癌は17/45例(37.8%)でHLA-G高発現を示す一方で、その他の胃癌ではほとんど発現は見られなかった(EBV群0/44例(0%)、MSI群1/57例(1.8%)、intestinal群4/54例(7.4%)、diffuse群1/45例(2.2%), (p<0.001)。一方で、PD-L1の発現は既報の通りEBウイルス関連胃癌やMSI胃癌で発現が更新していたが、AFP産生胃癌では発現は乏しかった。HLA-classIの発現はややAFP産生胃癌で多い傾向にあった。胃癌全体でもHLA-G高発現群は予後が不良であったが、もともと予後が不良なAFP産生胃癌群が多く含まれることが関連していると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AFP産生胃癌の特徴的な免疫回避機構としてHLA-Gの高発現があることを明らかにした。今後のAFP産生胃癌の免疫回避機構の検討により、腫瘍免疫を標的とした治療戦略が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
AFP産生胃癌とHLA-Gの関連について論文成果として発表するとともに、周囲の免疫細胞との関連なども含め検討を進めていく。またAFP産生胃癌のマーカーや標的となる分子についても検討を行っており、研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
条件検討などがスムーズに進み、若干の資金の余剰を得た。次年度、消耗品の試薬などを中心に購入し研究を進める。
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