研究課題/領域番号 |
19K16583
|
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
大舘 徹 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任助教 (20813249)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 甲状腺 / 未分化癌 / 乳頭癌 / 未分化癌転化 / 低分化癌 / TERTプロモーター / BRAF |
研究実績の概要 |
甲状腺未分化癌は先行する乳頭癌や濾胞癌から生じるとされる(未分化癌転化)。本研究ではリンパ節再発を繰り返し最終的に未分化癌へと転化した症例(未分化癌転化例)とリンパ節再発を繰り返すが未分化癌転化を来さない症例(非未分化癌転化例)を比較し未分化癌転化の鍵となる遺伝子異常、組織学的および臨床病理学的特徴を明らかにすることを目的とした。その結果、TERTプロモーター変異は未分化癌転化の早期に獲得されること、未分化癌転化を生じる乳頭癌では未分化癌転化の過程で低分化成分を伴うことを見出した。これらは再発乳頭癌において未分化癌転化の予測因子となりうることが示唆された。 本研究に関する内容は、すでに査読付き国際誌に発表済みである。また、本年度は甲状腺癌以外にも、乳癌や頭頸部癌に関する臨床病理学的研究を行うことができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究内容に関してはその成果をまとめ国際誌に論文発表することができた。 本年度は甲状腺以外にも、乳癌や頭頸部癌に関する臨床病理学的研究を行うことができた。 現在は、新しい甲状腺癌に関する研究テーマについて思案中である。
|
今後の研究の推進方策 |
近年、未分化癌にも多様な遺伝子異常があることがわかってきた。本研究では重要なドライバー遺伝子に焦点を当てているがそれ以外の遺伝子異常についてはあまり臨床病理学的な研究が進んでいないことを研究を通じて実感した。これらに焦点を当てた研究計画や展望について考えていきたい。なお、2022年度は国立がん研究センター病理診断科に所属が移るため、前所属施設からの研究の継続が困難であると予想される。研究計画の構想や立案に注力していきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた研究目標が達成できたため本年度は予備的実験や今後の研究計画の構想などを考えていた。また、今年度に実施した乳癌および頭頸部癌に関する研究は既存の病理標本を使用しデータをまとめるものであったため、これらには科研費を使用していない。次年度は研究計画の立案や構想が主体となるため、書籍や論文の購入費などに予算を使用する予定である。
|