本研究では潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis;UC)における潰瘍性大腸炎関連腫瘍(Ulcerative Colitis associated Neoplasia;UCAN)診断法の樹立を目標としていた。潰瘍性大腸炎関連腫瘍は様々な形態を呈するためその診断は困難とされる。近年、欧米のガイドラインによりその形態は隆起型(pedunculated、sessile、superficial elevated)、平坦型(flat)、陥凹型(depressed)に分類され、その拾い上げには色素散布内視鏡による狙撃生検が推奨されたるようになった。また隆起型のUCANの形態学的特徴に関する報告も散見されるようになりその診断率の向上が期待されているが、いまだに平坦型のUCANに関して検討された報告は乏しい。そこで今回、診断が困難とされる平坦型UCANの内視鏡的特徴を明らかにするために検討を行った。2001年1月から2022年1月までにUCANと診断された患者のうち、インジゴカルミン撒布による色素内視鏡観察を含めた詳細な拡大内視鏡観察が施行された病変内に平坦型UCANを有する症例を対象に内視鏡所見の特徴を抽出し、2019年度からその特徴を有する粘膜面に対して詳細な拡大内視鏡観察を行った。また生検や内視鏡治療後の検体、手術検体による病理組織学的な対比も行い最終的に拡大内視鏡による平坦型UCANの内視鏡的形態学的特徴を明らかにした。
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