研究課題/領域番号 |
19K16595
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研究機関 | 高知学園短期大学 |
研究代表者 |
三木 友香理 高知学園短期大学, その他部局等, 准教授(移行) (70397876)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 腫瘍微小環境 / マクロファージ / 細胞傷害性T細胞 |
研究実績の概要 |
2019年度は、腫瘍微小環境に存在する免疫担当細胞が浸潤や転移にどのように関与しているかを解析することを目的とした。 肺癌、胃癌、大腸癌、乳癌各40症例の手術切除組織について、腫瘍間質に存在する免疫担当細胞のうち最も重要な役割を担うとされる腫瘍関連マクロファージ(TAM)および細胞傷害性T細胞(CTL)の分布を免疫組織化学染色により確認した。TAMはマクロファージマーカーとしてCD68と、TAMのうち腫瘍促進性に作用するM2 TAMマーカーとしてCD163を用いた。また、MIB-Ⅰindexから腫瘍増殖能との関連について検討した。さらに、組織型、脈管侵襲の有無、Stageなどの臨床病理学的因子との関連についても検討を行った。すべての癌腫においてTAMとCTLは正の相関を認めた。さらに、肺癌でM2 TAMとCTLが、胃癌ではTAMとCTLが予後不良因子となることも示唆された。大腸癌ではTAMよりもCTLが腫瘍の浸潤や転移と関連しており、乳癌ではStageの進行した症例でTAM、CTLが多く、腫瘍増殖能の高い症例でM2 TAMが多く分布していた。 乳癌と大腸癌については、免疫チェックポイント分子PD-L1の発現との関連についても検討した。乳癌、大腸癌ともに腫瘍細胞におけるPD-L1の発現が高い症例はM2 TAMが多く、腫瘍間質細胞のPD-L1発現が高い症例はCTLが多く分布していることが明らかとなった。 現在、好中球の分布との関連、さらに術前の末梢血血液データとの関連について検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
血液データと合わせた症例抽出に時間を要した。 また、初年度は各症例におけるマクロファージおよび細胞傷害性T細胞の免疫組織化学染色、腫瘍増殖能と臨床病理学的因子との関連について解析したが、他の免疫担当細胞を検出するための抗体の選別、条件検討が十分ではなく、今後の検討が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は初年度に継続して、免疫担当細胞の分布との関連を検討するとともに、血液検査データとの関連についての解析を終える。 また、in vitroにおける解析を進めるために単球からマクロファージの分化誘導を開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究症例の抽出に時間がかかり、研究開始が遅れてしまったため予算の使用が次年度使用予定に変更となった。 また、免疫組織化学染色に用いる抗体の選別に時間がかかり、初年度購入予定であった抗体や試薬が少なくなった。これらは十分に検討したうえで次年度に購入する予定である。
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