乾癬は、ケラチノサイトへのIL-17A刺激が病態形成に中心的な役割を果たしていることが明らかにされているが、ケラチノサイト内IL-17Aシグナルについては不明な点が多い。 本研究者は乾癬の疾患感受性遺伝子であり、IL-17Aシグナルの下流分子であるNF-kB1に注目し、NF-kB1欠損マウスにおけるImiquimod誘導性乾癬様皮膚炎を解析したところNF-kB1欠損マウスでは乾癬様皮膚炎が著明に減弱することを見出した。また、野生型マウスおよびNF-kB1欠損マウスから純化したケラチノサイトを IL-17Aで刺激し、刺激前後の遺伝子発現変化をRNAシークエンス法にて網羅的に解析したところ、NF-kB1欠損マウス由来のケラチノサイトでは野生型マウスに比して、IL-17A誘導性遺伝子のRNA発現が著明に減弱することを見出した。さらに本研究者は、野生型マウスのケラチノサイトとNF-kB1欠損マウスのケラチノサイトでLCE (late cornified envelope) ファミリー遺伝子とSPRR (small proline rich protein) ファミリー遺伝子のRNA発現プロファイルが著明に異なることを見出した。本研究者は、野生型マウスおよびNF-kB1欠損マウスにImiquimod誘導性乾癬様皮膚炎を惹起し、皮膚局所における上記遺伝子の発現プロファイルをqPCR法でも解析し、上記遺伝子が乾癬の病態形成に置いて重要な役割を果たしていることを示した。さらにCRISPR/Cas9システムを用いて、その中でも特に重要と考えられる遺伝子の欠損マウスの作成を試みた。今後も上記のNF-kB1誘導性分子の乾癬の病態形成における役割、その作用機構について解析を進めて行く予定である。
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