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2021 年度 実施状況報告書

リポカリン型PGD合成酵素による認知症制御に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K16603
研究機関東京大学

研究代表者

永田 奈々恵  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (80390805)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードL-PGDS / 認知
研究実績の概要

アルツハイマー病では、アミロイドβやタウ蛋白の蓄積が観察される。中枢において、リポカリン型プロスタグランジンD合成酵素(L-PGDS)は、クモ膜や脈絡叢の他、タウが多く発現するオリゴデンドロサイトに多く発現し、脳脊髄液中にも豊富に含まれる。L-PGDSは、PGD2を合成して睡眠を誘発する一方、疎水性低分子を輸送する働き(リポカリン能)を持つ。しかし、その役割は明らかになっていない。本研究では、L-PGDSを介した睡眠と認知症との関連を検証することを目的としている。アルツハイマー病モデルマウスは半年以上で病変が観察されるとされている。本年度は、飼育していたマウスが適当な月齢に達したため、脳でのAβ沈着の増加を組織染色により確認した。このマウスの行動評価を行うために、オープンフィールド試験や高架式十字迷路試験、Y字迷路、新奇探索試験を導入し、野生型マウスと比較して短期記憶の低下がみられることを確認した。L-PGDSの関与について調べるため、アルツハイマー病モデルマウスとL-PGDS遺伝子欠損マウスの交配を進めている。また、様々な生理作用をもつPGD2は、代謝によりPGJ類などへ変換されることから、加齢とPGD2代謝物の関連について検討するために、アルツハイマー病モデルマウスの尿や糞便中の脂質の網羅的解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初新型コロナウイルス感染症の影響でマウスの繁殖数を減らしていたが、アルツハイマー病モデルマウスの繁殖や加齢マウスの準備が順調に進み、脳でのAβ沈着の増加も確認された。オープンフィールド試験や高架式十字迷路試験やY字迷路試験、新奇探索試験などの行動実験を行う環境を整え、アルツハイマー病モデルマウスの加齢マウスを用いて行動実験を行い、記憶力が低下していることを確認することができた。アルツハイマー病モデルマウスとL-PGDS遺伝子欠損マウスと交配した個体の繁殖も進み、その加齢マウスの準備も進んでいる。おおむね順調な進捗状況といえる。

今後の研究の推進方策

今後は、アルツハイマー病モデルマウスとL-PGDS遺伝子欠損マウスと交配したマウスを用いて、脳内のAβ沈着がL-PGDS遺伝子の欠損により変化するかどうかを組織染色あるいはELISAにより確認する。また、このマウスを用いて、オープンフィールド試験、高架式十字迷路試験、Y字迷路試験などの行動実験を行い、L-PGDS遺伝子の欠損が認知行動に影響するかどうかを確認する。また、脂質と認知の関連を調べるため、LC-MS/MSを用いて、尿や糞便中の脂質の網羅的解析を進める。

次年度使用額が生じた理由

アルツハイマー病モデルマウスでは、AD病変が観察できるようになるまでの飼育期間が半年以上かかることや、アルツハイマー病モデルマウスとL-PGDS遺伝子欠損マウスを交配したマウスの繁殖状況が良くなかったことから、2021年度に行ったマウス行動測定の実験費用が予定額以下になった。本年度は、モデルマウスが適当な月齢になったので、このマウスを用いた動物実験を進める。本年度予算は、通常汎用される試薬、行動測定用の器具等の費用に加えて、遺伝子改変マウスの繁殖飼育費用として使用する予定である。また、研究成果発表のための学会参加の出張費、さらに論文投稿料、印刷代等の費用として使用する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Urinary lipid profile of atopic dermatitis in murine model and human patients.2021

    • 著者名/発表者名
      1.Nagata N, Hamasaki Y, Inagaki S, Nakamura T, Horikami D, Yamamoto-Hanada K, Inuzuka Y, Shimosawa T, Kobayashi K, Narita M, Ohya Y, Murata T.
    • 雑誌名

      FASEB J.

      巻: 35 ページ: -

    • DOI

      10.1096/fj.202100828R.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Development of Monoclonal Antibody-Based EIA for Tetranor-PGDM which Reflects PGD2 Production in the Body.2021

    • 著者名/発表者名
      2.Nagata N, Masuko S, Inoue R, Nakamura T, Aritake K, Murata T.
    • 雑誌名

      J Immunol Res.

      巻: 26 ページ: -

    • DOI

      10.1155/2021/5591115.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 5,6-dihydroxy-8Z,11Z,14Z,17Z-eicosatetraenoic acid accelerates the healing of colitis by inhibiting transient receptor potential vanilloid 4-mediated signaling.2021

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi K, Ashina K, Derouiche S, Hamabata T, Nakamura T, Nagata N, Takenouchi S, Tominaga M, Murata T.
    • 雑誌名

      FASEB J.

      巻: 35 ページ: -

    • DOI

      10.1096/fj.201903207RRR.

    • 査読あり
  • [学会発表] 5,6-DiHETEはアレルギー様結膜炎を抑制する新規生理活性脂質である2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木十萌歌, 永田奈々恵, 村田幸久
    • 学会等名
      第3回日本比較薬理学毒性学会春季研究会
  • [学会発表] 5,6-DiHETEはマウスのヒスタミン誘発性の結膜炎を抑制する2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木十萌歌, 永田奈々恵, 中村達朗, 村田幸久
    • 学会等名
      第145回日本薬理学会関東部会
  • [学会発表] 木田 美聖、中村 達朗、永田 奈々恵、村田 幸久2021

    • 著者名/発表者名
      The role of PGD2/CRTH2 signaling in allergic reaction
    • 学会等名
      第95回日本薬理学会年会
  • [学会発表] Development of monoclonal antibody-based enzyme immunoassay for tetranor-Prostaglandin D Metabolite2021

    • 著者名/発表者名
      益子 櫻、永田 奈々恵、井上 理香子、中村 達朗、有竹 浩介、村田 幸久
    • 学会等名
      第95回日本薬理学会年会

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公開日: 2022-12-28  

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