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2019 年度 実施状況報告書

透明化技術の応用によるがん微小環境の解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K16604
研究機関東京大学

研究代表者

山城 恵生 (高橋恵生)  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (30836226)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード組織透明化技術 / がん微小環境 / 3次元イメージング
研究実績の概要

これまでの研究から、組織透明化技術を用いることで、マウスモデルにおけるがん転移を3次元かつ1細胞レベルの高解像度で観察できることがわかっている。本研究では組織透明化技術のがん研究への応用をさらに発展させ、がん微小環境の複雑性を多角的な視点から理解することを目的とする。本年度は以下2点について研究を進めた。
1)がん微小環境とがん細胞との相互作用を観察するために、脈管に着目した。本年度は遺伝子改変マウスやレクチンを投与したマウスの臓器を透明化処理することにより、リンパ管および血管を可視化する系を確立した。それらの系を用いた解析の結果、マウスの肺や脳、骨といった高頻度にがん転移が生じる臓器における脈管を高解像度に観察することに成功した。また、それら得られた3次元データから、リンパ管が臓器や部位特異的な構造を有すること、毛細血管と毛細リンパ管が走行しない部位が多く存在することなどが示唆された。さらに、メラノーマ細胞などを用いた実験肺転移モデルにおいて、がん細胞とリンパ管を同時に可視化する系を確立した。今後はこの系を用いてがん転移とリンパ管の位置関係を解析し、がん進展早期に認められるリンパ節転移のメカニズムに迫る。
2)がん細胞の形質を観察するために、細胞周期を示すFUCCIレポーターシステムに着目した。本年度は肺がん細胞や乳がん細胞のFUCCIレポーター発現株を使って、同所性移植モデルや実験転移モデルといった、マウスへのさまざまながん細胞移植モデルの確立を進めた。多くの移植モデルを比較することで、同じがん細胞由来の転移でも臓器によって形質が異なることを示唆する知見を得ている。今後は確立したモデルを用いて、がん転移における細胞周期を捉えることを目指して研究を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、組織透明化技術を用いて脈管を可視化する系の確立、FUCCIレポーター発現株を使ったがん細胞移植モデルの確立など、がん微小環境の複雑性を理解する上で重要な実験系を確立することができ、当初の計画通りに進んでいる。さらに、メラノーマ細胞などを用いた実験肺転移モデルにおいて、がん転移とリンパ管を同時に3次元イメージングすることも可能とした。また、FUCCIレポーター発現株を用いた実験では、当初の予定より多くの種類のがん細胞移植モデルの確立を進めており、これらは休眠や抗がん剤耐性のメカニズム解析に有用であると考えている。

今後の研究の推進方策

マウス脈管に関する実験では、3次元で観察された脈管の定量化、および脈管とがん転移の3次元の位置関係を解析し、それらの結果をとりまとめる。FUCCIレポーター発現株に関する実験では、確立したがん細胞移植モデルを用いて、原発腫瘍および肺や脳で認められるがん転移での細胞周期の可視化を試みる。さらに、マウスへの抗がん剤の投与実験を行い、腫瘍に対する抗がん剤の効果の解析や、抗がん剤耐性を示すがん細胞の細胞周期の可視化を試みる。
また、免疫細胞を含むがん微小環境とがん細胞の相互作用の解析や、担がんマウス臓器のシグナル活性の解析を行うにあたり、3次元抗体染色法を活用する予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度得られた知見から、当初の実験計画を一部変更したため。次年度にてマウスへのがん細胞移植実験および3次元抗体染色実験に使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Visualization of tumor microenvironment using tissue-clearing technology2019

    • 著者名/発表者名
      Kei Takahashi, Shimpei I Kubota, Shogo Ehata and Kohei Miyazono
    • 学会等名
      第78回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] がん研究における臓器透明化手法の応用2019

    • 著者名/発表者名
      高橋 恵生
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会

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公開日: 2021-01-27  

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