PNHは主にPIG-A遺伝子変異による溶血性貧血を主徴とする後天性造血幹細胞疾患であるが、合併する造血障害の病態には未知の点が多いため、根治療法開発は困難である。そこで、患者由来iPS細胞(iPSC)を利用し、病因解明を目指すこととした。PIG-A変異型iPSCおよび同一患者由来正常型iPSCに由来する造血幹細胞の分化増殖能を検討したところ、PNH型細胞では著明な低下が認められた。また、PIG-A変異修復後の分化増殖能の改善は限定的であった。これらの結果より、PNH造血障害の病因として、PIG-A変異以外の内因性異常の存在が示唆されたため、今後、遺伝子解析を進め、病因遺伝子異常の同定を行う。
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