• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実績報告書

細胞老化を切り口とする血液脳関門の加齢に伴う機能低下機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K16612
研究機関大阪大学

研究代表者

松平 竜之  大阪大学, 微生物病研究所, 特別研究員(CPD) (20812267)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード血液脳関門 / BBB / 細胞老化 / 血管内皮細胞
研究実績の概要

加齢に伴う血液脳関門(BBB)の機能低下は脳血管疾患だけでなく神経変性疾患の要因にもなりうるが、両者の因果関係は明らかではない。また加齢に伴うBBBの機能低下の原因も十分に解明されていない。本研究課題では、BBBの機能低下のメカニズムを細胞老化現象の観点から明らかにすることを目指した。まず、血液脳関門の主役である血管内皮細胞に着目し、加齢に伴いマウス個体で細胞老化が生じているか否かを調べた。若齢マウスと高齢マウスの全脳より血管内皮細胞をFACSにより単離してRNA-seq解析を行い、細胞老化のマーカー遺伝子であるp16やp21、LaminB1などのmRNA発現を解析したが、発現量に大きな差が見られなかった。これより、脳の血管内皮細胞ではin vitroの線維芽細胞で認められるような細胞老化は生じていないことが示唆された。また、血管内皮細胞に特異的に細胞周期抑制遺伝子p16を発現させることのできるマウスを作製しp16の発現を誘導したが、顕著な表現型は確認できなかった。一方で、高齢マウスの血管内皮細胞では、種々の炎症性のサイトカインのmRNA発現が亢進していたことから、細胞レベルでの慢性的な炎症が生じていることが示唆された。そこで高齢マウスにおいて発現が顕著に低下していた遺伝子群に着目し、マウス脳微小血管内皮細胞株bEnd.3でこれら遺伝子を発現抑制したところ、遺伝子Xの発現抑制時に炎症性サイトカインの発現が亢進する傾向が得られた。このことから、遺伝子Xは血管内皮細胞の炎症を抑制していることが示唆される。今後はこのXの局在やタンパク質の量などを高齢マウスの血管内皮細胞で調べるとともに、遺伝子XのノックアウトマウスあるいはTgマウスを作製し、BBBの血管透過性を調べるとともに、周囲の脳細胞に与える影響を解析する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] A BET family protein degrader provokes senolysis by targeting NHEJ and autophagy in senescent cells2020

    • 著者名/発表者名
      Wakita Masahiro、Takahashi Akiko、Sano Osamu、Loo Tze Mun、Imai Yoshinori、Narukawa Megumi、Iwata Hidehisa、Matsudaira Tatsuyuki、Kawamoto Shimpei、Ohtani Naoko、Yoshimori Tamotsu、Hara Eiji
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 11 ページ: 1935

    • DOI

      10.1038/s41467-020-15719-6

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi