研究課題
シグナル伝達の起点として液性因子、細胞間接着、および細胞基質間接着があり、そのうち液性因子によるものは比較的よく解明されている一方で、細胞間接着による遺伝子発現調節機構は多くが未解明である。我々は以前、細胞間接着分子クローディン-6 (CLDN6)が幹細胞の上皮分化トリガーとして機能することを報告した。本研究ではその系を用いてCLDN6を起点とするシグナル伝達経路の全容および同経路によるがんの細胞制御機構を解明すべく研究を進めた。まずマウスF9幹細胞を用いて、CLDN6による上皮分化誘導機構についてシグナル伝達に着目しながら分子生物学的に解析した。続いて子宮体がん切除検体および子宮体がん細胞株を用いて、同シグナル経路による細胞制御機構を解析した。最後に乳がん切除検体および乳がん細胞株を用いて、同様に検討した。CLDN6はSrcファミリーキナーゼ(SFK)/PI3K/AKT経路を介してレチノイン酸受容体γ (RARγ)をセリンリン酸化した。さらにCLDN6は同様の経路でエストロゲン受容体α (ERα)もセリンリン酸化し、これが子宮体がんの悪性形質を増強することが解った。また乳がんではCLDN4が同様に肝X受容体β (LXRβ)を活性化し、がんの進展に寄与することが示唆された。このCLDN-核内受容体経路は他の器官や病態にも関与する可能性が考えられ、様々な疾患に対する治療標的としての可能性も期待される。
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