研究課題
薬剤溶出性ステント留置時から直接作用型経口抗凝固薬(Xa-i)単剤でも安全性・有効性が担保されるかを検証するためにLDLコレステロール受容体ホモ欠損(LDLR-/-)ブタ冠動脈不安定粥腫モデルを用いた実験を行い、検証した。我々の過去の研究に倣い、3ヶ月齢のLDLR-/-ブタに1.5%コレステロールと15%牛脂を含む高脂肪食を4ヶ月間与え、冠動脈粥種を作製した。冠動脈造影、血管内超音波で冠動脈粥腫の部位を同定し、それらの冠動脈病変に薬剤性溶出性ステントを留置した。一頭あたり、2本の薬剤溶出性ステントを留置した。同モデルを8頭作成し、二群に分け、Xa-i単剤投与群(エドキサバン 3mg/kg/日)、及び抗血小板二剤併用(アスピリン 100 mg/日+クロピドグレル 75 mg/日)療法群(DAPT群)とした。上記薬剤はステント留置3日前から実験終了後まで継続した。ステント留置後も高脂肪食負荷を1ヶ月行った。ステント留置から1ヶ月後に冠動脈内を光干渉断層法(OCT)で観察し、ステント留置冠動脈を取り出し、病理組織学的検討を行なった。OCTでは両群とも新生内膜は十分被覆されていたが、Xa-i群の方が新生内膜が薄かった。組織学的評価ではステント内の壁在血栓の付着は認めなかった。ステントストラット周囲のフィブリン血栓の沈着も両群間に差はなく、炎症細胞浸潤の度合いも両群とも同等であった。以上から大動物モデルを用いて冠動脈への薬剤溶出性ステントを留置する際に抗血栓療法としてXa-i単剤を投与することが従来のDATPと比較しても非劣性であることがわかった。本研究の結果は今後実臨床において心房細動患者が薬剤溶出性ステントを留置を受ける際により少なく、より短い抗血栓療法としてXa-i単剤が選択肢として用いられることに繋がる極めて有意義なデータと考える。
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Scientific Reports
巻: 11 ページ: 6281
10.1038/s41598-021-85740-2