研究課題
本研究は、新規マラリアワクチン候補抗原Riprに相互作用するタンパク質が、メロゾイト侵入にどのように貢献するのかを明らかにするために、原虫増殖阻害活性を持つ抗Riprモノクローナル抗体を複数作出し、タンパク質相互作用阻害活性と原虫増殖阻害活性を比較することによって、分子レベルでのRipr分子の機能解析を行うことである。これによりRiprの分子機能に必須な部位が明らかになり、Riprによるマラリアワクチン抗原の最適化を更に加速することができる。またRipr複合体が赤血球侵入にどのように機能するのかを解明することで、赤血球侵入機構の一端を明らかにすることができる。これまでにマウスへRiprを免疫し、常法に則ってハイブリドーマを作製して、ハイブリドーマ培養液に生じるモノクローナル抗体のうち、Riprと結合するクローンを、間接蛍光抗体法およびSPRを用いて選別し、複数個の抗Riprモノクローナル抗体を作成した。また原虫に発現しているRiprを認識可能である事を確認するため、当該モノクローナル抗体による免疫沈降を行い、抗Riprウサギポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロッティングにより、原虫内Riprに反応することを確認した。現在、タンパク質相互作用を詳細にリアルタイムで観察できるBiacoreを用いてRiprと他のタンパク質との相互作用を、どのような強さで阻害するのかを、当該モノクローナル抗体の濃度を段階的に変化させることによって明らかにしている。
2: おおむね順調に進展している
モノクローナル抗体の選抜方法を当初の計画とは変更したものの、複数のモノクローナル抗体を得ることができた。選別後の評価に関しても、SPRでの解析は概ね順調に進行しており、当初の計画では最終段階にあたるモノクローナル抗体を用いた侵入阻害試験に関しても進められている。
SPRを利用したRipr分子との相互作用を検出する系にモノクローナル抗体を加えることで、それぞれの相互作用を特異的に阻害するクローンを選別すること。および、モノクローナル抗体の詳細なタンパク質相互作用阻害活性を評価する予定である。現在進行中の当該モノクローナル抗体による熱帯熱マラリア原虫増殖阻害活性とタンパク質相互作用阻害活性とを比較することによって、Riprと相互作用タンパク質の、どれがどの程度、赤血球侵入に重要なのかを明らかにする。
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