本研究課題では、熱帯熱マラリアワクチン候補分子Riprに対する抗Riprモノクローナル抗体を複数作出し、メロゾイトの赤血球侵入過程の一端を明らかにすることを目的として研究を進めた。 まず、全長Ripr分子を抗原としてマウスに免疫し、51種の抗Riprモノクローナル抗体を作出した。これらの培養上清を用いてウエスタンブロッティングおよび免疫蛍光抗体法を行い、熱帯熱マラリア原虫内のRipr分子に反応するモノクローナル抗体を11種類獲得し、これら11種の抗体のサブクラスを確認した。次に現在、前臨床へと準備を進めている「Ripr1-5」抗原への特異性をELISA法およびBiacoreを用いて検証し、「Ripr1-5」抗原へ特異的に反応した4種のモノクローナル抗体を同定した。さらに原虫の赤血球侵入へ関与するモノクローナル抗体を選出するため、培養熱帯熱マラリア原虫に対する増殖阻害活性を測定した。増殖阻害活性の測定は、培養上清から精製した精製IgGを用いて行い、増殖阻害活性を示す可能性のある抗体を5種見出した。これら5種の抗体の中から、「Ripr1-5」抗原へ反応性を示した抗体2種と「Ripr1-5」抗原へ反応性を示したものの増殖阻害活性を示さなかった抗体2種、計4種の抗体を大量に作成し、原虫の増殖阻害活性を濃度依存的に測定した。 今後は、Ripr分子の赤血球侵入過程をこれらのモノクローナル抗体を用いて明らかにしていく予定である。
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