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2020 年度 実施状況報告書

新たな皮膚真菌症~昆虫病原糸状菌がどうしてヒトに危害を与えたのか?

研究課題

研究課題/領域番号 19K16634
研究機関千葉大学

研究代表者

伴 さやか  千葉大学, 真菌医学研究センター, 助教 (90834664)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードCordycipitaceae / dermatophytes / entomopathogenic fungi / selective medium
研究実績の概要

本研究は、皮膚から分離されたCordycipitaceae科の糸状菌について、臨床情報と一般真菌としての情報を関連づけ本菌群の特性を明らかにすることを目的としている。
2019年度の調査により、対象とする糸状菌群の生育温度の限界は35℃以下であったため、皮膚に炎症を起こす主因とは考えにくい。一方、プロテアーゼ活性が認められ、昆虫病原性を有することから、白癬菌等により既に症状が出ている部位に日和見菌として取り付いていた事が示唆された。この結果を受けて、2020年度は日和見感染菌のリスク評価要素のうち、環境中での出現頻度を計測するために必要な、環境中からの検出方法の開発を目的とし、培養試験と環境試験を行った。
1)培養試験:対象の Lecanicillium属はCordycipitaceae科に所属し、一般的な糸状菌用の培地(ポテトデキストロース寒天培地、PDA)で生育するが、近縁のOphiocordycepitaceae科に所属する昆虫病原糸状菌は生育が遅く、環境中から直接検出することはできない。そこで、文献などから昆虫細胞培養用の液体培地(グレース培地)の適用について検討したところ、PDAよりは良好な生育が認められたので、本培地に他の真菌が生育できない薬剤を足すことで、選択的な検出ができるのではないかと考えられる。
2)環境調査: Lecanicillium属の選択培地(Ishii et al. 2015)と、PDAを用い、エアーサンプラーにより空気中の菌を捕捉して培養を行った(同定調査を継続中)。しかし、本調査で Lecanicillium属や関連属は得られなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2020年4月から新型コロナ感染拡大の影響で、病院等での現地調査が実施できず、代案として自宅の調査を継続したが、満足な結果が得られなかった。選択培地は文献調査により見つけることができたが、その培地で目的の種類が得られていない。また、目的外の糸状菌種ではあったが、そこで得られた菌株の同定が終了できていない。選択培地の開発が未達の場合に計画していたメタゲノム解析も合わせて、2021年度へ持ち越した。

今後の研究の推進方策

本研究では、昆虫病原性、または腐生性の糸状菌が、今後の超高齢社会及び都市型住宅環境において、どの程度人体にリスクを引き起こすかを調査することを目的とした調査を、少数の供試菌に対して実施している。1年目は菌の同定に集中し、2年目は遅延が発生しているが、C)環境中での計測を試みた。
3年目となる2021年度は、A) 付着性能試験、B) 飛散能力の測定、D) 環境中のメタゲノム解析、E) 微好気条件下等の酵母状細胞の誘導実験、F) pH、死滅温度、乾燥-湿潤繰り返し、土壌中や海水中の生残試験である。そして、これまでの成果をまとめて学会誌への投稿準備を進めたい。

次年度使用額が生じた理由

2020年4月から新型コロナ感染拡大の影響で、病院等での現地調査が実施できなかった。選択培地の開発が未達の場合に計画していたメタゲノム解析(委託予定)も合わせて、2021年度へ持ち越した。

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公開日: 2021-12-27  

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