人類最古の感染症の一つである結核は、今なお年間140万の人命を奪い甚大な被害をもたらしている。結核の撲滅を困難にしている一因として、その原因菌であるヒト結核菌の休眠・宿主内潜伏という特異な性質が挙げられる。本研究では、菌が産生する細胞外小胞(メンブレンベシクル:MV)に着目して結核菌の潜伏の分子機序解明を図った。組換え菌作成により、MV産生制御因子の同定を試みた。一方で、MVが宿主免疫に及ぼす影響についても解析を行なった。培養条件の違いによって、MVの免疫刺激活性、免疫原性が大きく変化することが明らかになった。さらには、MVの免疫誘導性を利用した新たな結核ワクチン開発の可能性が示された。
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