本研究では糖新生の基質や,腸内に豊富に存在する物質にコレラ菌が誘引応答を示すことを見出した.コレラ菌の走化性は,病原性発現と密接に関連していることが知られており,そのメカニズム解明が期待できる. これらの物質の感知に関わると同定したMLPは,これまでに報告されている走化性受容体と異なる.これらのMLPを精査し,すでに知られているものと比較することで,コレラ菌の複雑な走化性メカニズムの理解を進めることができるであろう. また,本研究で新たに忌避物質として見出したアミノ酸はこれまでに知られていたフェノールより毒性が低いと考えられ,コレラ菌の走化性,ひいては感染メカニズム解明の促進が期待できる.
|