これまでE. coliのパンデミッククローンの解析はESBL産生菌、特に、O25・ST131クローンに関して盛んに行われてきた。今後のパンデミッククローンの移り変わりを明確に推測することは困難であるが、何らかの薬剤耐性を保有しているクローンは抗菌薬の選択を受けやすいため新規パンデミッククローンの候補としての可能性を秘めているものと思われる。今回着目したO75・ST1193クローンは現時点で感染症例に占める割合は顕著とは言えないが、キノロン系抗菌薬に対して全株で耐性を示したため、引き続き注視すべき対象と考えられる。今後の耐性菌の流行を予測するうえでも、学術的、社会的意義は大きいと言える。
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