これまで作製報告のなかった肺炎クラミジアの遺伝子破壊株について、そのライブラリ構築を目的として研究を行った。他の病原性クラミジアにおける先行研究をもとにグループIIイントロンを利用した遺伝子改変ベクターを作製し、それを肺炎クラミジア血清型CWL029株へと塩化カルシウム法を用いて導入しようと試みた。実験の結果、計画当初に作製目標とした塩基配列のプラスミドベクターを作製することに成功した。しかしながら、その後の塩化カルシウム法による形質転換後に遺伝子改変された肺炎クラミジアサブクローンを得ることはできなかった。その為、形質転換方法を電気穿孔法へと変更して再度導入を試みた。しかしながら、それでも遺伝子改変された肺炎クラミジアサブクローンを得ることはできなかった。そこで精製した遺伝子改変プラスミドベクターを再度RFLP法により確認したところ、プラスミドDNAの全長及び断片長パターンのどちらとも精製直後のものと変化していた。精製した元となる大腸菌サブクローンについては凍結保存をしていた為、そのサブクローンを調べたところ、元の作製した遺伝子改変ベクターと同様のRFLPパターンと塩基配列を示した。そのDNAサンプルを4℃で1か月間静置したところ、そのDNAサンプルは全長も断片長も変化していた。当研究室で所蔵している他のプラスミドベクターでは配列が変化するような例がなかったため、塩基配列解析を実施した範囲外に問題があったのではないかと考えている。
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