研究課題/領域番号 |
19K16679
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
野村 拓志 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 主任研究官 (80711001)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | SIV / CTL / 複製制御 / サルエイズモデル / 交差反応性 |
研究実績の概要 |
過去の研究において長期SIV複製制御サル群の解析を行い、CTL反応標的の広範化とサブドミナントCTL反応の出現がウイルス複製制御破綻の前兆であることを示したが、長期SIV複製制御維持にかかわるウイルス特異的CTL反応に関する知見はいまだ不十分であった。SIV感染サル体内において選択されるCTL逃避変異には複数の段階があり、その最初の段階における逃避変異はCTLからの認識を逃避するもののMHC-Iへの結合能は失わない場合があることが知られている。研究代表者のこれまでの解析はSIVmac239の野生型のペプチドを用いたCTL反応解析が主であり、前述した最初の段階におけるCTL逃避変異に対して誘導される変異体特異的CTL反応の解析は行っていなかった。Gag241-249野生型およびGag241-249変異型エピトープ-Mamu-A1*065:01 tetramerを用いることで、SIV感染MHC-Iハプロタイプ90-120-Ia共有サルにおいてドミナントエピトープであるGag241-249特異的なCD8陽性T細胞が野生型エピトープと変異型エピトープのいずれを優位に認識するか、または野生型および変異型エピトープの両方に対し交差反応性を示すか解析することが可能である。本年度はこの解析系を樹立し、長期SIV複製制御群の感染後約半年の凍結サンプルを用いてGag241-249特異的CD8陽性T細胞の交差反応性解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Gag241-249野生型およびGag241-249変異型エピトープ-Mamu-A1*065:01 tetramerを用いた解析系を樹立し、SIV感染MHC-Iハプロタイプ90-120-Ia共有サルにおいてドミナントエピトープであるGag241-249特異的なCD8陽性T細胞が野生型エピトープと変異型エピトープのいずれを優位に認識するか、または野生型および変異型エピトープの両方に対し交差反応性を示すか解析することが可能となった。長期SIV複製制御群での解析は中途であるが、研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では世界でも唯一の病態進行の差異を判定できるSIV感染長期複製制御個体のPBMCを用いた解析を行っている。今後は長期SIV複製制御群の複数のSIV感染後のタイムポイントで、Gag241-249特異的CD8陽性T細胞の野生型および変異型エピトープに対する交差反応性を解析し、長期複製制御維持にかかわるCTL反応の性質を解明する予定である。 このようなウイルス特異的CTL反応と体内ウイルス排除の機構のより詳細な解析は、HIV感染症の完治に向けた基礎知見となりうる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の遂行上、2019年3月に物品の購入が生じたが、事務手続きの都合上2019年度中に終了しなかったため。2年間の研究計画の中で、全体の研究計画および助成金使用計画に実際の変更はない。
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