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2019 年度 実施状況報告書

2B4陽性新規iNKT細胞の分化・維持機構と機能の解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K16687
研究機関京都大学

研究代表者

崔 广為  京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 助教 (70791276)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードNKT細胞 / インターロイキン15 / 免疫微小環境 / サイトカイン
研究実績の概要

インバリアントナチュラルキラーT(iNKT)細胞は糖脂質抗原を認識し、サイトカインやケモカイン、細胞障害分子を迅速かつ大量に産生することで、自然免疫と獲得免疫の両方に機能している。生体内で生成する内因性脂質にも応答し得るiNKT細胞は、がんや感染症、慢性炎症、自己免疫疾患といった様々な疾患の制御と進展に関わっている。一方、インターロイキン15(IL-15)はiNKT細胞の分化、維持および応答に非常に重要であることが知られていた。
申請者は胸腺上皮細胞特異的(FoxN1-Cre)IL-15 cKOマウスを解析し、胸腺髄質内のIL-15産生性免疫微小環境がiNKT細胞の分化に重要であることを明らかにした。そのうえで、iNKT細胞をNK細胞受容体CD244とケモカイン受容体CXCR6を用い、新たにC0 iNKT細胞、C1 iNKT細胞およびC2 iNKT細胞に分画できることを発見した。2B4+のC2 iNKT細胞は胸腺内IL-15産生性免疫微小環境に強く依存する一方で、C1 iNKT細胞は胸腺内IL-15産生性免疫微小環境にほぼ依存しないが、末梢組織内の抗原提示細胞由来のIL-15によって維持されることを明らかにした。同時に、C2 iNKT細胞またはC1 iNKT細胞は胸腺内C0 iNKT細胞から分化し得ることも示唆した。また、Parabiosis実験により、C2 iNKT細胞は末梢循環型、C1 iNKT細胞は組織常在型iNKT1細胞であることを明らかにした。さらに、FoxN1-Cre IL-15 cKOマウスにてB16メラノーマを移植する実験的肺移転モデルを用いた解析では、がん細胞の転移巣が著しく増加したことから、C2 iNKT細胞はがん転移の免疫監視および抑制に重要な役割を果たしていることを示唆した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度に計画していた組織特異的IL-15遺伝子破壊マウス(IL-15 cKOマウス)と蛍光タンパク質CFPを生体内IL-15遺伝子座にノックインしたレポーターマウス(IL-15-CFP KIマウス)を用いた各組織におけるC2およびC1 iNKT細胞の解析はほぼ予定通りに実施することが出来た。また、各組織における組織常在型C1 iNKT細胞と末梢循環型C2 iNKT細胞の性質および機能を分子レベルで明らかにするとともに、IL-15以外の重要な因子を探索するため、各種iNKT細胞を生体内から単離し、デジタルRNAシークエンス法にて網羅的な遺伝子発現解析も予定通りに進んでおり、生体内における末梢循環型C2 iNKT細胞の実態が明らかになりつつあると考えられます。

今後の研究の推進方策

C2 iNKT細胞の活性化と生理的機能を明らかにする。抗原提示細胞およびiNKT細胞を活性化できる糖脂質アルファガラクトシルセラミドとの共培養や生体内投与実験や、iNKT細胞の移植実験を行い、C2 iNKT細胞の活性化状態およびサイトカイン、ケモカイン、細胞障害分子の産生を他のiNKT細胞と比較しながら検討する。胸腺内において、C2 iNKT細胞はその他の免疫細胞と異なり、IFN-γを非常に高く産生しているから、FoxN1-Cre IL-15 cKOマウスを用い、胸腺髄質上皮細胞による自己抗原の産生等への影響を調べる。また、マウスの週齢とともに授乳中または食餌中の脂肪酸の量や構成も異なることから、各時期の生体内におけるC2 iNKT細胞の細胞数と局在、活性化状態を解析する。
C2 iNKT細胞による抗がん免疫機能や慢性炎症への影響を解析する。肺がん細胞株やメラノーマを移植する実験的肺転移モデルを用い、転移巣へ浸潤した免疫細胞数、C2 iNKT細胞の活性化状態と局在、およびサイトカインやケモカイン、細胞傷害分子の産生をIFN-γレポーターマウスなどを用いて解析する。同時に、C2 iNKT細胞によるNK細胞と抗原提示細胞のリクルートや活性化への影響も検討する。さらに、生体内への糖脂質アルファガラクトシルセラミド投与または活性化したC2 iNKT細胞の移植実験で、転移巣の形成および病態経過を解析する。また、高脂肪食誘導肥満モデルを用い、野生型マウスおよびFoxN1-Cre IL-15 cKOマウスにおけるC2 iNKT細胞の細胞数と局在の変化、活性化状態、インスリン抵抗性を検討する。さらに、脂肪酸組成にバリエーションのある高脂肪食を与え、異なる脂質抗原によるC2 iNKT細胞の活性化および機能を比較し、肥満への影響と抗炎症作用を評価する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] IL-7R-Dependent Phosphatidylinositol 3-Kinase Competes with the STAT5 Signal to Modulate T Cell Development and Homeostasis2020

    • 著者名/発表者名
      Cui Guangwei、Shimba Akihiro、Ma Guangyong、Takahara Kazuhiko、Tani-ichi Shizue、Zhu Yuanbo、Asahi Takuma、Abe Akifumi、Miyachi Hitoshi、Kitano Satsuki、Hara Takahiro、Yasunaga Jun-ichirou、Suwanai Hirotsugu、Yamada Hisakata、Matsuoka Masao、Ueki Kohjiro、Yoshikai Yasunobu、Ikuta Koichi
    • 雑誌名

      The Journal of Immunology

      巻: 204 ページ: 844~857

    • DOI

      https://doi.org/10.4049/jimmunol.1900456

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Intestinal epithelial cell-derived IL-15 determines local maintenance and maturation of intra-epithelial lymphocytes in the intestine2019

    • 著者名/発表者名
      Zhu Yuanbo、Cui Guangwei、Miyauchi Eiji、Nakanishi Yuki、Mukohira Hisa、Shimba Akihiro、Abe Shinya、Tani-ichi Shizue、Hara Takahiro、Nakase Hiroshi、Chiba Tsutomu、Sehara-Fujisawa Atsuko、Seno Hiroshi、Ohno Hiroshi、Ikuta Koichi
    • 雑誌名

      International Immunology

      巻: 32 ページ: in press

    • DOI

      https://doi.org/10.1093/intimm/dxz082

    • 査読あり
  • [学会発表] Thymic IL-15 niche controls anti-tumor immunity by regulating a novel subset of iNKT cells2019

    • 著者名/発表者名
      Cui Guangwei, Ikuta Koichi
    • 学会等名
      第48回日本免疫学会総会・学術集会
  • [学会発表] NK細胞の分化を支持するIL-15産生性骨髄微小環境の解明2019

    • 著者名/発表者名
      阿部 真也、原 崇裕、崔 广為、生田 宏一
    • 学会等名
      Kyoto T Cell Conference

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公開日: 2021-01-27  

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