研究課題/領域番号 |
19K16688
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
南川 淳隆 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (90838822)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 運動 / 免疫 / 細胞療法 |
研究実績の概要 |
腫瘍統計等の研究で、運動が、免疫機能に変化を与え、癌患者の予後に影響する事が知られてきているが、そのメカニズムは全く分かっていない。本研究では、運動による動物体内での免疫細胞、特にCD8T細胞の動態変化に着目し、新規の免疫機能コントロール機序の抽出、またそのコントロール方法の開発を目指している。薬剤とは違う,様々な治療法と併用可能な免疫活性化法を確立する事で、将来的な癌免疫療法へ応用する事が目的である。 本年度は、OVA発現EG7腫瘍株を移植したNSGマウスへのOT1マウス脾臓細胞の移植モデル、腫瘍移植B6マウスのにおいて、運動による腫瘍径変化、移植CD8T細胞の動態変化についての解析を行い、解析に適したモデルの条件検討を行った。NSGマウスOT1T細胞移植の系において、運動群では、継続的に運動を続けるマウス群において、腫瘍増大が遅い傾向を確認する事が出来た。また、運動群では、末梢血中のOT1T移植細胞がより検出される傾向が有ることが分かった。さらに、運動させたOT1マウスのCD8T細胞は、非運動群と比べ、抗腫瘍効果が高い傾向に有った。同様に、B6マウス、腫瘍移植の実験系でも、運動継続群において、腫瘍増大が抑制される事が分かった。腫瘍増大がおさえられた群では、筋肉量が有意に多い事が分かった。この免疫動態が変化する動物実験系において、腫瘍径の変化との相関が明らかな因子を検索する事で、今後免疫活性化機構のスクリーニングを行っていく事が出来る。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染のため、動物実験の実験停止期間が発生した影響で、実験が遅れている。 また、運動量を動物により揃える方法に苦慮している。
|
今後の研究の推進方策 |
運動の腫瘍免疫への影響が確認できたが、その代替刺激を開発する必要が有る。筋肉の刺激を通じて、免疫細胞の動態をコントロール出来ないか検討するため、機械的な刺激による細胞の変化を解析していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスのため、実験計画がのびている事が大きな原因である。運動類似刺激を誘発する電気刺激装置、筋電計を購入し、刺激実験を行っていく予定としている。
|