運動は、個体の体内での免疫細胞動態を変化させる可能性がある事が示唆されており、運動と免疫の関連を研究する事で、新たな免疫治療のターゲットを探索出来ると考えられる。本研究では、担癌マウスモデルにおいて、運動併用による免疫細胞療法の効果への影響を解析する事で、細胞動態の調整メカニズムの探索を行った。 OVAアルブミン発現EG7腫瘍株を皮下移植したマウスに、OT-1マウスから採取したCD8T細胞を投与する実験系にて、腫瘍サイズの変化を追跡し、運動により、腫瘍増大が抑制される実験系を構築することに成功した。また、どのような運動がより抗腫瘍効果が高まるかを検証するために、運動時間を揃えた上で、インターバルを増やす運動プロトコルの検証を行った所、長時間の持続的な運動より、インターバルを挟んで短時間運動を複数回させる方がより観察できる傾向にあり、運動の免疫活性化機序の一端を示していることが示唆された。さらに、筋肉の電気刺激によっても、腫瘍位置によっては、腫瘍抑制効果を観察出来る事が確認された。この結果は、養子免疫療法において、運動等の外的刺激により、治療効果を改善する事が可能である事を意味しており、今後の免疫療法における新しい介入手段となる事が期待出来る。
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