• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

腸内常在菌による細胞障害性T細胞の機能制御の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K16698
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

田之上 大  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60732972)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード腸内細菌
研究実績の概要

Granzymeはアポトーシス誘導などを介して標的細胞に障害性作用を及ぼすエフェクター分子であり、主にCTLが産生する代表的なプロテアーゼである。本研究では腸管におけるGranzyme産生細胞を解析してその生理的意義を検証する。マウスは10種類のGranzyme遺伝子(Gzma-g,k,m,n)を保持していて、10番染色体にm、13番染色体にkおよびa、14番染色体に残りのb,c,f,n,g,d,eが位置する。このうち特異的抗体が入手可能なGzmA,B,Mについて、腸管粘膜固有層における産生細胞をフローサイトメトリーにより解析したところ、GzmAならびにB陽性細胞が多数局在していた。その細胞数の内訳は、TCRβ+CD8T細胞が最も多く、ついでNKを含むILC1(NK1.1+)細胞、TCRγδ+細胞に加え少数のTCRβ+CD4T細胞も発現していた。大腸の細胞について詳しく解析したところ、それぞれの細胞により発現パターンが異なっていた。具体的にはCD8T 細胞はGzmB産生集団が多く、その約半分のポピュレーションは同時にGzmAも産生していた(GzmB単陽性およびAB両陽性)。一方、NK1.1+細胞はGzmAのみを産生する細胞が殆どであった(GzmA単陽性)。TCRγδ+細胞はGzmA産生集団が多く、その半分以上がGzmBも産生する両陽性細胞であった(GzmA単陽性およびAB両陽性)。次に、これらのGranzyme産生細胞に対する腸内細菌の関与を調べるために無菌マウスを解析したところ、CD8TとTCRγδ+細胞のGzyme産生はABともに消失していた。一方でNK1.1+細胞の産生は2/3から半減するものの保持されていた。このことから腸内細菌がCD8T細胞やTCRγδ+細胞のGranzyme産生を誘導する一方で、NK1.1+細胞の産生には関与が低いことが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初計画していたCD8T細胞だけでなく、gdT細胞やNK1.1細胞にも留意し、より詳細に腸内細菌の関与を検討できているため。

今後の研究の推進方策

本年度の研究により腸内細菌が腸管粘膜固有層に位置する免疫細胞のGranzyme産生を誘導することが分かったが、より管腔内に近接した上皮にも影響する可能性が考えられるため、上皮間リンパ球について解析する。Granzyme産生細胞を誘導する腸内細菌種を探索し同定・単離する。

次年度使用額が生じた理由

想定よりスムーズに実験が進行したため。来年度は計画している実験の種類と量が多く、次年度使用額を使用する計画である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 腸内細菌叢によるがん免疫応答調節2019

    • 著者名/発表者名
      田之上 大、本田 賢也
    • 雑誌名

      実験医学増刊

      巻: 37 ページ: 97-101

  • [雑誌論文] T細胞を誘導する腸内常在菌とがん免疫への関与2019

    • 著者名/発表者名
      田之上 大、新 幸二、本田 賢也
    • 雑誌名

      実験医学増刊

      巻: 37 ページ: 67-72

  • [学会発表] A human-derived commensal bacteria that can induce IFNγ-producing CD8 T cells and cancer immunity.2019

    • 著者名/発表者名
      Takeshi TANOUE, Kenya HONDA
    • 学会等名
      第78回日本癌学会学術総会
    • 招待講演
  • [学会発表] 宿主免疫系に作用する腸内細菌種の同定とそのがん免疫応答に及ぼす影響2019

    • 著者名/発表者名
      田之上 大
    • 学会等名
      第7回 がんと代謝研究会
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi