研究課題/領域番号 |
19K16709
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 悠 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80780543)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 細胞接着因子 / 胃癌 |
研究実績の概要 |
今までに胃癌の組織型によりNectin1の発現変化があること、またNectin1が低発現の胃癌では高発現の胃癌と比較して予後が悪いことを報告してきている。Nectinによる結合は細胞接着の初期から起こることが報告されており、胃癌の組織型の決定や転移能の獲得に寄与しているのではないかと考えている。 Nectin1の発現変化が胃癌の悪性度に及ぼす影響について解析をする目的で胃癌細胞株6種に対してNectin1をレトロウィルスベクターを用いて恒常的に過剰発現させる系を確立した。癌化能のassay系により過剰発現した場合の影響について解析を行った。 早期胃癌(高分化型腺癌)8症例における術前生検検体を用いて網羅的遺伝子発現解析(Agilent SurePrint G3 Human GE マイクロアレイ 8x60K Ver. 3.0)によりNectin1高発現とNectin1低発現検体に4例ずつ分類し、Nectin1の発現量と相関のあるprobeの同定を行った。また、未分化型成分が優位な胃癌4症例についても同様に術前生検検体を用いた網羅的遺伝子発現解析を行い、組織型に違いによるNectin1の発現変化と関連のあるprobeの同定を行った。特に未分化型優位と分化型優位の早期胃癌の間でNectin1の発現差と有意な相関を認める165個の遺伝子を同定しており、転移能および細胞接着に関連のある既知の因子との関連について検索中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
胃癌組織のFFPE標本において免疫染色によりNectin familyの発現解析を行う予定であったが、Nectin1については成功したものの、Nectin2, Nectin3, Nectin4による免疫染色は市販抗体では発現評価が困難であるためFFPE標本の免疫染色は染色性のよい抗体が得られない限りは断念せざるを得ないという結論となった。このためNectin family全体の発現解析を行うという部分で遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
Nectin1をknock downもしくはknock outした際の癌化能の検証を行う。 また、Nectin1の発現変化と関連があることがmicroarrayで同定できた遺伝子について、細胞株を用いたover expressionや上記knock downの系により発現変化の検証を行う。 更に既知の転移能や細胞接着に関わる因子との関連について検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
やや研究遂行が遅れており、そのため試薬類の購入が想定より少なかったことが次年度使用額が生じた理由である。 次年度は本年度の研究の遅れを取り戻す予定であり、試薬の購入に充てる予定である。
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