研究課題
若手研究
ヒト膵癌の解析では、ELF3が前癌病変から進行膵癌に至るまで幅広く発現し、ELF3が高発現するほど予後不良であることより、ELF3が腫瘍促進的に働くことが示唆された。一方で、膵癌マウスモデルを用いた検討では、ELF3のノックアウトにより低分化な腫瘍が形成され、ELF3のノックアウトが脱分化を引き起こす、すなわちELF3が腫瘍抑制的に働いていることが示唆された。これらの結果からELF3の膵癌における役割が腫瘍形成の段階によって変化する可能性が考えられた。
腫瘍生物学
膵癌は本邦における悪性腫瘍死亡原因の第5位を占め、未だに5年生存率が10%に満たない最難治癌であり、予後改善・新規治療薬の開発には、その病態解明が必須である。ELF3の膵癌における役割の詳細は不明であったが、本研究でその病態形成の一端を担うことを明らかにすることが出来た。詳細な病態解明や新規治療法開発には更なる検討が必要と考えられる。